映画評「マインド・ゲーム」

☆☆★(5点/10点満点中)
2004年日本映画 監督・湯浅政明
ネタバレあり

森見登美彦の小説をアニメ化した「夜は短し歩けよ乙女」がなかなか興味深かったので、監督・湯浅政明のこの旧作を観みることにした。原作はバロン西のコミック。しかし、この監督、「夜は短し歩けよ乙女」を見ても解るように、独自のアート志向があって原作と関係なく暴走するところがあるらしい。

若者・西(声:今田耕司)が中学時代に相思相愛だったものの消極性が災いして縁が切れてしまった初恋の女性みょん(声:前田沙耶香)と再会、彼女の姉ヤン(声:たくませいこ)が営む焼き鳥屋を訪れると、みょんの婚約者りょうもいてがっくり来る。そこへ父親が残した借金を取りにヤクザ二人組が現れ、ごたごたの末に西は射殺されるが、生への思いが強さが神に認められて直前の状態で復活、撃ったヤクザを逆に撃ち殺す。西とみょんとヤンはヤクザの車を乗っ取って逃げ、物凄いカーチェースの末に、クジラに飲み込まれてしまう。ここで変な日本語を使う老人(声:藤井隆)と知り合って、暫くそこで悠々自適の生活を楽しむが、やがて一致団結して脱出する。

作品の三分の二くらいを占める中盤場面が「ピノキオ」を意識したものであることは解るが、論理的に考える傾向のある左脳人間にはピンと来ない部分が多いし、前後の連絡のない繋ぎがあるなど、物語という面だけで評価しようとすれば余り感心できない。

しかるに、かかる僕とて右脳の働くところはあり、この作品が放つ物凄いアート的バイタリティーには脱帽したくなる感じである。“神様”が主人公の主観により色々と変化する様子を見せる部分や、クジラからの脱出前後の怒涛の描写は、類似するものを他に殆ど観た記憶がない。

全体のタッチは「乙女」で指摘したように、フランス製アニメを思い出させるが、動的な見せ方はかなりサイケデリックで独特と言うべし。統一感のなさはこの監督の持ち味で、そこに面白味があるように思うが、「乙女」のほうがごった煮の中にもまとまりがある感じがする。

ジョン・レノン「マインド・ゲームス」ではなく、フォーク・クルセダーズ「帰ってきたヨッパライ」てなとこ。

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