映画評「夜に生きる」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2016年アメリカ映画 監督ベン・アフレック
ネタバレあり

ベン・アフレックは多分俳優としてより映画作家としての素質の方があるのではないかと思われるくらいきちんとした映画を作る。本作は監督デビュー作「ゴーン・ベイビー・ゴーン」より落ちるが、空撮ショットの挿入の多さにうんざりさせられた第二作「ザ・タウン」よりは良い。少なくとも見やすい作品になっている。

第一次大戦の戦場で不条理な世の中を見た反動で、官憲ブレンダン・グリースンの息子であるにもかかわらず、復員後犯罪者の道を歩み始めた青年アフレックは、禁酒法で台頭したアイルランド系ギャングの親分ロバート・グレニスターの情婦シエナ・ミラーと懇ろになるが、それがばれて殺されかけたところを父親指揮する警察に救われ、シエナを殺されたと聞いた後、強盗のプロセスで発生した警官殺しの罪で服役する。父親は判事を脅して刑期を短くさせる。
 父親が出所直前に亡くなると、アフレックはシエナの復讐のためにグレニスターと抗争を続けているレモ・ジローネ率いるイタリアン・マフィアと組むことにすると、タンパへの密輸に絡んでいるキューバ美女ゾーイ・サルダナと協力しあうことでその周辺で一大勢力を築く。
 彼女と内縁関係に入った後、次に狙ったカジノ業進出を、裏で暗黒街と繋がっている官憲クリス・クーパーの娘で西部での女優挑戦に失敗した後聖書原理主義者に変心したエル・ファニングが一大反対キャンペーンを張ったことから、諦めざるを得なくなる。
 自分の強欲の為なら何でも厭わないボスは、殺人をしないのをモットーとするアフレックを疎ましく思い、やがてグレニスターと組んで彼を亡きものにしようとする。事前に察した彼はピンチを回避して実権を手中にするが、ボスの座を強盗時代の相棒クリス・メッシーナに譲る。これで平和な生活が続けられると思ったものの、娘を原理主義者に仕上げたクーパーに狙撃されて妻を失う。しかし、彼には息子がいる。

僕にとってストーリー記載は映画評を書く上で重要で、全くお話に触れない作品は殆どないのだが、本作は途中で切り上げるということも考えた。しかし、本作は、父と子をモチーフにして構成されたギャング映画なので、それが如実に表現される幕切れまできっちり書くことにした。

マフィアのボスが馬鹿な息子を重用して結局墓穴を掘るのもそれに関連付けられるという以上に、彼が死ぬ前に「何故ばかな息子を使ったのか」というアフレックの問いに対し「お前も子供を持ってみれば解る」と答えているので、幕切れへの布石となっているわけである。さらに、原理主義者の父娘も彼らの人生に大きく絡んでくる。

原作が警官の息子を主人公にした三部作の一編ということで、こういう内容になっているらしいが、父と子の関係若しくは関係性を基調に置くギャング映画やマフィア映画は少なくないので、新味不足であることは否めない。また、KKKが絡んでくるシークエンスでの作劇的な混乱も気になる。
 反面、カメラはしっかりしていて、じっくりと見られる。全般的に一時よりは改善されてきたとは言え、格好の良さだけを優先した出鱈目なカメラワークが多い中で、落ち着いた画面を見るのは精神衛生上よろしい。

アメリカでの評価が余り上がらないのは、【証文の出し遅れ】ということかな?

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