映画評「エブリバディ・ウォンツ・サム!!世界はボクらの手の中に」

☆☆★(5点/10点満点中)
2016年アメリカ映画 監督リチャード・リンクレイター
ネタバレあり

リチャード・リンクレイターは、歩きながら会話する二人を延々とドリー・バックで撮るスタイルが非常に印象的だが、基本は会話劇の映画作家である。本作はリンクレイターの作品と知らずに見続け、新カップルの会話をドリー・バックで撮るショットを見て“リンクレイターばりだな”と思っていたら、ご本人でしたよ。

1980年、高校野球の投手としてならしたブレイク・ジェナー君が、野球強豪大学へ入学し、男子寮へ入る。しかし、先輩方は野球以外には男女の下ネタにしか興味のない連中ばかりで、3日間はちゃめちゃな騒動に付き合わされる羽目になる。女学生の方も似たようなものだが、真面目で頭も良さそうな彼は、その中に演劇を学ぶ利発そうなゾーイ・ドイッチを発見、初々しい恋人たちになる。

というのが主軸となるお話であるが、新学期が始まる前の3日間の野球部員たちのヘンテコな行状をスケッチ的に捉えるのが眼目である。全体の三分の二くらいは下ネタ絡みのお笑いで、バチェラー・パーティーものを三日間に延長したようなものと思えば【中(あた)らずと雖も遠からず】といったところながら、リンクレイターが即実的に描いているので、下ネタで笑いを取ろうという意識を感じさせず、内容の割に下品感は抑えられている。

とは言え、野球のシーンは後半の数分間だけで、殆ど賑やかなおふざけ場面ばかりでは飽きがくる。そのはちゃめさは熾烈な競争が始まる前の緊張感の裏返しであるという彼らの気分も想像されないではないが、根が真面目な平均的な日本人にこの感覚は解りにくいだろう。

なかなか上手い野球の練習場面以外では、ピンク・フロイドの「フィアレス」を聴きながら語られる哲学談義が面白かったくらい。ナック「マイ・シャローナ」等いかに僕が貧乏大学生活時代にラジオで聞いた懐かしい洋楽の数々が流れると言っても、それだけで☆を増やすわけには参りませぬ。

引退した後にクイズ番組に登場する元アスリートを見ると、その非常識ぶりに呆れることが多い。スポーツに励んで勉強してこなかったんだなと思う。仕方がないのかもしれない。

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