映画評「ネオン・デーモン」

☆☆★(5点/10点満点中)
2016年デンマーク=アメリカ=フランス合作映画 監督ニコラス・ウィンディング・レフン
ネタバレあり

ニコラス・ウィンディング・レフン監督作品では、出世作「ドライヴ」とデビュー作「プッシャー」(1997年)は悪くないが、「オンリー・ゴッド」に続いて本作も戴けない。世間の人のように「つまらない」のではなく、一人合点にすぎるからである。

純真な16歳美少女エル・ファニングは、田舎からロサンゼルスに出てモデルを目指し、少年写真家カール・グルスマンに撮ってもらった後、そのオーラからとんとん拍子に成功を収めていくが、それと共に自信過剰になり、メイクアップ・アーティストのジェナ・マローンの誘惑を断ったのを境に、とんでもない目に遭う。

エルはモーテルの隣室の騒動に恐れをなしてジェナの家に行くが、その家はジェナが管理しているだけで、その後にライバル関係にあるモデルが出てくる。
 この重要な場面は、楷書的な場面のつなぎという観点から言えば甚だまずく、観客が自然と理解できるようには作られていない。僕の判断では一人合点ということになる。

転から結にかけては言わない方が良い感じなので、スタイリッシュにグロテスクな場面が続くとだけ言っておこう。
 その中で最も印象的なのは、自らメイクを施した女性の死体と屍姦するジェナと、自涜まがいのことをしているエルを左右対称(向き)に配したクロス・カッティング。これは類似であると同時に、生と死の対照でもあるわけで、ヒッチコック「疑惑の影」に似た【類似と対照】の構図から、エルの迎える未来が予想できる次第。全体的に解りにくい中で、ここは案外解りやすい。エルの扱いも「サイコ」からの拝借ですかな。ラフン監督、タッチは全然違うが、意外にヒッチコック・ファン?

ファッション写真家が撮るような、固定カメラを駆使した映像にはスタイリッシュで造型的な美しさがあって、仮にお話がダメでもここで払った料金はある程度取り戻せる。一時期のクラフトワークのようなテクノ・サウンドによる背景音楽も捨てがたい。面白かった(興味深かった)ので、途中からコンポを通して聴いた。

ポール・サイモンは、「人はネオンを神として拝んでいる」と言いましたが。

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