映画評「コーマ」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1978年アメリカ映画 監督マイケル・クライトン
ネタバレあり

SF小説家として有名なマイケル・クライトンだが、作品数こそ少ないながら映画監督としてもなかなか優秀で、特にロビン・クックの医療サスペンス小説を映画化した本作はかなり面白く観られる。三十何年かぶりの再鑑賞。

ボストンの大病院に勤務する女医ジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドが、簡単な手術を受けた親友ロイス・チャイルズが麻酔により昏睡状態になったことにショックを受け、納得できないのでこっそり情報を得た結果、昏睡件数が多すぎることに気づく。それを報告しても同僚で内縁の夫マイケル・ダグラスは何もしようとしない。外科部長リチャード・ウィドマークから嗅ぎまわることについてきつく注意されたものの、さらに昏睡になった患者のカルテを調べると、決まって同じ手術室で手術されていること、同じ研究所へ送られていることが判る。
 ここに至って陰謀の存在が確実になるが、それと共に秘密を知る管理人が殺されたり、彼女も何者かに追いかけられ殺されかけたりする。研究所に見学者として紛れ込んだ時もピンチに陥ると、臓器運搬車を使って辛うじて逃げおおせる。やがて、麻酔部長が絡んだ陰謀を外科部長に報告するが、本当のピンチはここから訪れる。

臓器売買をテーマにホラー要素も盛り込んで手に汗を握らせながら楽しませてくれる。カギを握る人物の名前がトリックである。
 今となっては珍しくないどころか過剰なくらいだが、当時女性がアクションにこれほど頑張る映画はなかったので、その意味でも楽しめる作品となっていた。戦前から映画を見ている映画ファンの中には、次々と訪れるピンチから逃れる連続活劇の女王パール・ホワイトの主演作みたいと楽しむ人もいた模様。

現実には子供の臓器売買が世界の闇市場で行われているようだが、健康な大人を事故に見せかけて殺しその臓器を売るというのはそれとはまた違う意味でゾッとさせられる。それでも全体としては、良い意味で60年代の可愛らしさがなくなりすっかり大人になったジュヌヴィエーヴの連続活劇的アクションを楽しむ一編と言うべし。

僕はマイケル・ダグラスをこの作品で初めて意識して見たと思う。

有名な俳優の中で一番言いづらい名前かもしれないジュヌヴィエーヴ・ビュジョルド。

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