映画評「キング・オブ・エジプト」

☆☆★(5点/10点満点中)
2016年アメリカ=オーストラリア合作映画 監督アレックス・プロヤス
ネタバレあり

オーストラリアの資本も入っているが、アメリカ映画若しくはハリウッド映画と言って良いのだろう。

マーヴェル・コミックスの「マイティ・ソー」は北欧神話のアメリカ的解釈版であるし、ギリシャ神話のテキトーなファンタジー的解釈版も作られ、遂に古代エジプトの神様にも触手を伸ばした。そんなこととはつゆ知らず、古代エジプトの史劇と思って観始めたら、なんと歴史とは全く関係ないファンタジーであった。原題通り「エジプトの神々」のお話である。エジプトはファラオという王様が治めていたというのが史実だが、本作の神様は王でもあり、人間と共存している。馬鹿らしいものの新機軸と言えようか。

太陽神ラー(ジェフリー・ラッシュ)の次男で野心を持つセト(ジェラード・バトラー)は、エジプトを治めていた兄オシリスを殺しその息子ホルス(ニコライ・コスタ―=ワルダー)の目を奪い、王になる。
 すばしこい若い泥棒ベック(ブレントン・スウェイツ)は、王宮で盗難をしたことから恋人ザヤ(コートニー・イートン)を失う羽目になる。若者は難所を潜り抜け彼女が崇拝していたホルスの片目を奪還し、彼女の蘇生を頼む。ホルスが協力することにしたため、ベックは神同士の争いに巻き込まれることになる。

矢継ぎ早に見せ場がある場合上手く作れば勿論面白くなる。しかし、そんなに上手い脚本や展開は実際にはなかなかないもので、本作のようにメリハリのないゲームのような映画になりがちである。ジャンル映画はゲーム感覚を重視すべきだが、下手するとゲームそのものになって身も蓋もない。本作はその典型のような結果に終わった。
 1990年代以前のようにたまに作られる時代であれば、これくらい見せ場があれば相当ゴキゲンになったであろうに。

アクション以外については、本作の神様の言動や様子は程度の低いキリスト教的解釈であり、結局は他の神話ものと大差のないものになって、これが潜在力ほど面白くなくなった一番の理由である。

日本は多神教と言われているが、最初の神様も誕生させられているので、彼らを生存せしめた本当の神がいるはず。そう考えれば日本も一神教である。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2017年08月20日 10:00
小学生から学生時代、なぜか神話ものを気に入り、ギリシャ神話、北欧神話・・・・もちろんエジプト神話も読んできて歴史に興味深くなったねこのひげは、マイティ・ソーを漫画化したスタン・リーに拍手でありましたが・・・
この映画はもうちょっとなんとかならんものかでありましたね。
21日日本テレビである『タイタンの戦い』も・・・・であります。
まあ、あの番組枠の映画はすべて字幕なのが救いでありますがね。
オカピー
2017年08月20日 17:23
ねこのひげさん、こんにちは。

>神話もの
僕も興味のあったほうですかね。
ギリシャ神話とローマ神話では、名前が違っても同じ神様と知ったり。
福永武彦の「夢見る少年の昼と夜」の少年のようですね、ねこのひげさんも僕も。

キリスト教徒は多神教の精神がよく解らないから、どうも変てこな作品になりがちですね。大味で幻滅することが多い。

作りは貧弱でも大昔のイタリア製の神話もののほうが僕は好きです。

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