映画評「インフェルノ」(2016年)

☆☆☆(6点/10点満点中)
2016年アメリカ=ハンガリー合作映画 監督ロン・ハワード
重要なネタバレあり

ダン・ブラウンのラングトン教授シリーズ(?)の映画化第3弾。監督は第1作からロン・ハワードのまま。

頭を負傷した教授(トム・ハンクス)がフィレンツェの病院で目覚め、一時的な健忘症で記憶がはっきりしない中、警官の恰好をした謎の女狙撃者から狙われた為、担当の女医シエナ(フェリティー・ジョーンズ)の案内で病院を抜け出し、彼女の家で息抜きをする。
 警察も米国領事館も彼を追っていることを知って逃亡しながら、彼が持っていたカプセルの中に収められていた絵図から謎を次々と説いていき、やがて彼が襲われ追跡されている理由が、爆発的人口増加を控えている人類が地球を破滅させると信じて人類半減化を企む狂信的科学者ゾブリスト(ベン・フォスター)が製造した生物兵器にあることを突き止める。
 彼を別々に追跡して来るWHO(世界保健機構)のエリザベス・シンスキー博士(シセ・バベット・クヌッセン)と、ブシャール(オマール・シー)のどちらが真に悪計を阻止しようとし、教授を救おうとしているのか。

といったお話で、第1作の時とは比較にならないが、また原作と比較して酷評する人がいる。そろそろ映画は原作通りに作られないし、作れないということを知るべきだ。イデオロジスト、宗教原理主義者、そして原作ファンは固定観念を持っているため映画を語る資格がない。少なくとも、彼らが映画を語る場所で語るのは純然たる映画ファンにとって甚だ迷惑だ。

閑話休題。

個人的には第1作が、衒学趣味が満載で一番楽しめた。今回は、シエナと一緒に行動をしているうちは「インディ・ジョーンズ」シリーズの感覚、彼女が離れてからは「ミッション:インポッシブル」のようなテロとの対決アクション風になり、衒学趣味が爆発するミステリーとしてはかなり物足りない。それでも一通り楽しめるので、第1作・第2作「天使と悪魔」と★一つ分の差に留める。

地理的に原作者か脚本家が「ロシアより愛をこめて」を意識した可能性がある。かの作品はイスタンブールからベニスへ、こちらはベニスからイスタンブールへと舞台を移して展開するからである。大きなスクリーンで見たら観光気分や美術鑑賞気分満点だろう。また、インド系の俳優イルファン・カーンの役どころが先に出演した「ジュラシック・ワールド」と全く同じマッチポンプなのに笑った。

因みにゾブリストの言う【第6の絶滅(期)】は実際に使われている専門用語だが、彼の人口増加予測(320億)は社会学的見識が全く抜けていてデタラメ。
 ご存知のように先進国で人口増加の目安となる出生率2.07を超える超える国は実質ない。まだ人口が増えているアメリカも、ヒスパニックの生活が向上すればいずれ減少に向かう。アフリカも生活が向上し高等教育を受ける人が増えれば急激な人口増加はなくなる。現在より30億人程度多い100億前後で世界人口は頭打ちになるという考えが主流で、僕もこの考えに納得している。ネズミ算式の人口増加は実際もう止まっていると思う(70億に達するのが1970年頃の予想より10年ほど遅れた)。先進国化した中国が既に人口減少に向かっている。中国の人口減少率は日本より激しいものになるだろう。どんなに多くなっても150億までだが、そこまで増える前に食糧問題が起きて対策が打たれるはず。実際には食料より水のほうが問題になるかもしれない。

現在の人口から推測して人類の誕生は6000年前となり、聖書による理解と一致する、というけったいな意見を言う創造論の一派がいる。ここ数百年の人口増加で推測しては駄目よ。それ以前は大した医療もなく、猛烈な伝染病のパンデミックもあり、殺し合いも多かったのだから。

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