映画評「64-ロクヨン-前編」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2016年日本映画 監督・瀬々敬久
ネタバレあり

瀬々敬久という監督は、余りにテキトーな作劇で僕を呆れさせたパニック映画「感染列島」を作るかと思えば、4時間を超える純文学作品「ヘヴンズ ストーリー」を作り、掴み切れない作家であるが、作劇が極端になる傾向があると言って良いのではないか。

わが群馬県の上毛新聞社出身の人気作家・横山秀夫の同名小説を映画化した本作は、横山作品の例に洩れず、群馬県が舞台である。

群馬県警(“ある県警”とぼかしているサイトが多いが、出て来るパトカーを見れば一目瞭然。掲示物にも群馬の文字が出ている)の広報官・佐藤浩市は、交通事故の加害者(有力者の娘)を匿名にしたことから、瑛太をリーダー的存在とする記者クラブの連中から激しい抗議を受け、一週間しかなかった昭和64年に起きた営利誘拐殺人事件(ロクヨン事件)の被害者(永瀬正敏)宅へ警察庁長官が訪れる行事に関し取材ボイコットを宣言されてしまう。
 この訪問の背景にあるのは、県警刑事部長人事に絡む警察庁による県警の天領化という目論見だから、本部長(椎名桔平)に命じられてこれを実行させる役目を追う彼は刑事部から責められる。
 かくして匿名の方針を取り下げることで警察庁長官行事を取材させるかどうかのジレンマに佐藤広報官は苦しめられることになるが、首覚悟で組織人としての立場を捨て匿名方針を撤回し、ロクヨン被害者に思いを馳せることを記者連中に訴える。そんな折にロクヨンを彷彿とする誘拐事件が起きる。

本来一つの作品として作られるべき大作の前編に当たる作品だからこれだけで評価することは適当ではないのだろうが、一編の作品であることも確かなので本編だけで少し書いてみる。

横山作品と言う以上に、瀬々監督作品だからやはり大袈裟な印象がある。これは通してみても変わらないであろう。
 本編においては、記者クラブ連中の高圧的な態度が非常に気になった。広報官が主人公だから彼の立場で観てしまうのが人情とは言え、客観的に見ても少々行きすぎている。この辺がいかにも瀬々作品である。映画という一方的に進む媒体において、警察の役職が色々出て来て混乱を惹起するのも難点。

主人公が指摘するように、記者の諸君は組織人間の固定観念に陥っている。相手が個人として話をしようとしても群馬県警を代表して話しているように思い込む。全体の印象は後編を待つしかないが、この前編の中では、それを滔々と訴える終幕の場面が人間的な感動を呼ぶ。前編のハイライトはここであろう。

戦前・終戦直後はこうした短いスパンでの前編・後編公開スタイルが邦画に流行したが、昭和30年~平成10年くらいまでであれば一本の超大作として製作・公開されたにちがいない。「歴史は繰り返す」か?

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この記事へのコメント

2017年04月02日 06:33
おひさしぶりです。
ねこのひげはくたばりかけておりました。
癌だそうです。
また、手術のため4月6日に再入院します。
まだコメントできませんが、いずれ落ち着いたらコメントさせて頂きます。
では、また
オカピー
2017年04月02日 17:15
ねこのひげさん

心配しておりました。
癌ですか。
しっかり治して、また元気に遊びに来てください。
お待ちしております。

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