映画評「ある日どこかで」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1980年アメリカ映画 監督ジュノー・シュウォーク
ネタバレあり

三十何年か前一度観ている。今以上にロマンティックな物語が好きだったからお話としては文句なしだった。
 「激突!」の原作者にして脚本を担当した才人リチャード・マシスンがまともや才気を発揮した一編と言うべきだが、監督が中継ぎ投手クラスのジュノー・シュウォークだったのが惜しい。もう少し洒落っ気のある人であったら、ぐっと良くなったと思う。

1972年大学で処女戯曲を発表し好評を博した学生リチャード(クリストファー・リーヴ)が、直後に現れた老婦人(スーザン・フレンチ)から時計を渡され「戻ってきて」と謎めいた言葉を言われる。
 1980年劇作家として名を成した彼は、気まぐれな旅に出ようとして立ち寄ったホテルで、そこに由縁のある美人のポートレイトを発見しすっかり魅了されてしまう。老ボーイの情報をもとに、1912年に興行した当時有名だった女優エリーゼ・マッケナ(ジェーン・シーモア)の写真と知ると、彼女も興味を持っていたらしい時間旅行を研究し、遂にその当日に戻ることに成功、彼女を見張っている恩人的マネージャー(クリストファー・プラマー)の妨害を乗り越えて結ばれるが、1970年代のコインを持っていた為に現在に引き戻され、悲嘆に暮れる。

というお話は、前述通り、ロマンティックでしょ? 他人(ひと)の趣味についてはとやかく言うものではないが、こういうお話に痺れない現実一本やりの人にはご同情申し上げる。

老女となった彼女から戴いた時計が実は彼が若い彼女に与えたものであったり、彼が惹かれたラフマニノフのラプソディーも彼が教えたものという具合に、タイム・ループが出来上がってしまって「どちらが最初なんだ!」という大きな疑問が湧くものの、本格的なSFではないし、その辺りに疑問を呈すのも鑑賞者として得策ではないだろう。
 僕が一番知りたいのは、彼が時を戻すコインに触れた時に彼女がどういう現象を目にしたか、ということ。目の前からゆっくりと消えていったのだろうか? いずれにしても、それで彼女は時間旅行なるものを知って調べ始めるということになる。本来時がループしているのであるから、彼は再び戻ることができるはずなのだが、そうではなく幽玄さを優先した幕切れになる。それはそれでヨロシ。

主役のお二人が美男・美女なのもヨロシ。リーヴ氏は本作15年後に落馬して半身不随になり、その影響からか、2004年に心不全により52歳の若さで亡くなった。演技派ではないけれども、こういうタイプの俳優は大衆映画には欠かせないわけで、馬の事故を含めて損失だった。

英国史を紐解けば、ジェーン・シーモアは青髭のモデルになったヘンリー8世の3番目の妃で、王子を生んだ時に産褥死した。なぜ余り縁起の良くないと思われるこの名前が芸名として採用されたか疑問です。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2016年05月08日 10:03
ロマンチックで映画ファンの間では静かなブームでありましたね。
大げさなマシーンも出てこず良かったですね。
惜しい俳優でありました。
ジョージ・シーモア・・・知らなかったのでは?
オカピー
2016年05月08日 21:56
ねこのひげさん、こんにちは。

公開時は余り騒がれなかったのですが、その後ビデオ時代になってカルト的な人気作になっていったようですね。
トータルでは大傑作というほどではないですが、なかなか上品な佳品でした。

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    Excerpt:      かなり久しぶりの「午前10時の映画祭」   催促されて指定したところのスクリーンから3列目の真ん中   「お客様~かなり見上げる形になりますがぁ~&.. Weblog: 映画と暮らす、日々に暮らす。 racked: 2016-05-08 19:08