映画評「レッド・スカイ」

☆☆★(5点/10点満点中)
2014年アメリカ映画 監督マリオ・ヴァン・ピーブルズ
ネタバレあり

レッドはロシアを意識したものか。今でも赤がアメリカ人にとってのロシアのイメージなのが笑える。

海軍戦闘機パイロットのカム・ジガンデイは、イラクで突然割り込んできた指令に従って空爆をしたところ、対象が秘密兵器を査察中の自軍関係者であった為に軍法会議の末に仲間と共に強制的に退役させられる。
 7年後、民間の仕事をしていた彼の許にかつて自分たちを裁いた元法務官ビル・プルマンが現れ、イスラム系テロリストに奪われた“レインメイカー”というロシアが発明したらしい特殊武器を奪還する為に協力するよう頼まれる。かつての仲間とこの仕事を引き受けると、かつてリーダーだったシェーン・ウェストの元恋人で今はロシアにいる記者レイチェル・リー・クックに“レインメイカー”について調べてもらう。
 が、彼女の周辺で色々と不穏な動きがあり、この動きと共に彼らの奪還作戦が罠で敵の協力者に捕えられるというピンチに陥いるが辛うじて脱出、テロリストと手を組んでいるウェストを敵に回して激しい空中戦が繰り広げられることになる。

「トップ・ガン」(1986年)のような爽快なドッグファイトものかと思いきや、途中までは殆ど戦争スパイ・サスペンスの趣き。しかし結果的に僕にはこの部分が長かったおかげで却って楽しめた。
 最後の4分の1くらいになって漸く空中戦の本番に入っていくが、そうでなくても区別がつきにくいジェット戦闘機同士の戦いなのに、カット割りが悪くて全く楽しめない。例えば、ジガンデイを捉えた後に敵側の主観で攻撃を見せるのは映画文法的に明らかに変、「に」と「を」を間違えている感じで訳が分からないことになる。従って、空中戦を観る映画と決めつけて評価すればもっと少ない☆でも良いくらいだ。

僕は上述した戦争スパイ・サスペンスの部分の本格的な感じを買って実力より多めの☆★を進呈致した次第。ロシアでレイチェルに情報を与えようとした教授が死ぬ場面にはなかなか良い感覚がある。ただ、こちらのパートも場面の繋ぎが拙く全体としてぎこちない感じが残るので褒めるところまでは行かない。
 自らテロリスト側人員に扮して登場する監督マリオ・ヴァン・ピーブルズはもう少しきちんと見せる監督と思っていたが、今回はどん詰まりのピッチャー・ゴロでした。

本作後半でシリアが絡んできて米国とロシアが協力するのは何だか2015年12月の現在を思わせる。まだアメリカは本格的に絡んでいないが、テロリスト相手に大国が手を組もうとしている様相が似ていて先(本作は2013年製作)を読んだ脚本といった印象はある。但し、対西洋のテロリストを生んだのは西洋自身の責任と言わなければならない。「アラビアのロレンス」(1962年)を見ればその片鱗が見える。

人間は膵臓か? 膵臓は胃と違って自身の(過剰に)発する物質により溶けてしまう。大雑把に言うとそれが膵炎だ。僕が患っている病気で一つ間違えると死に直結するが、先進国とイスラム系テロリストの関係を見ていると、人類は自ら滅びる道を歩んでいるようにさえ見える。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年12月13日 11:11
イスラム国で洗脳されてなくても個人で不満のある人間が事件を引き起こす可能性がありますからね。
防ぎようがないですね。
オカピー
2015年12月13日 13:37
ねこのひげさん、こんにちは。

アメリカに関していえば、憲法を変えるしかないでしょう。
あれだけ事件が続出しているのに「だからこそ銃が必要」というのは、銃による事件が殆どない我が国に住んでいる人間には信じられない発想。銃規制が正しいのは、日本を見れば解るのですけれどね。

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