映画評「ケープタウン」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2013年南ア=フランス合作映画 監督ジェローム・サル
ネタバレあり

本作の原題はZuluと言って、南アの一民族のことである。イギリス映画「ズール戦争」(1963年)と同一原題で、僕はこの作品でマイケル・ケインの名前を覚えた。また、1974年に同じ邦題の「ケープタウン」が作られ、こちらにもケインが出演していた。彼は南アの俳優ではないのに、面白い偶然もあったものだ。

子供たちの謎の失踪が絶えないケープタウンで元有名ラグビー選手の娘が殺される事件が起き、ズール族の刑事フォレスト・ウィテカーが捜査に乗り出すが、殺害現場に近いところで聞き込み捜査をしている最中部下の一人を殺され、自身も負傷する。犯人と思われたギャングが別の類似事件を起こした後死体で送り届けられるが、犯人であり得ない証拠を掴んだウィッテカーらがさらに捜査を進めると、単なる麻薬絡みの事件を超え、子供の失踪事件とも関連する陰謀に突き当たる。

というお話で、ウィテカーと彼の部下で色々と問題を抱えた白人刑事オーランド・ブルームらが捜査する模様は、刑事ものながらハードボイルド小説を彷彿とする渋めの展開。ところが、ブルームが陰謀の証拠品を盗み出して以降は彼の別居妻を人質に取られるサスペンス、母親を殺されて怒り心頭に発したウィテカーがアジトに乗り込んでの銃撃戦の末のドラマティックな追跡など前半とは打って変わってぐっと大衆的な盛り上がりを見せていく。
 トーンの一貫性という観点からは問題がないわけでもないが、手に汗を握りながら観られるのだから十分楽しめるし、何より復讐に否定的であったウィテカーが自らその立場に放り込まれると復讐に躍起になるという変心ぶりがトーンの変化と呼応し違和感なく観られるのが良い。

採点は☆☆☆ながら拾い物と言うべし。

平成生まれで上の二作品を知っていたら、凄いな。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2015年07月12日 06:53
シブイ映画と思っていたら・・・でありましたがなかなか面白かったです。
マイケル.ケインは、むかし劇場で観たところはダイコンだと思っておりましたが、中年を過ぎるとグッと渋く良い役者になりました。
オカピー
2015年07月12日 17:06
ねこのひげさん、こんにちは。

>マイケル・ケイン
「探偵/スルース」辺りからぐっと良い役者になって来たのではないか、と思います。

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