映画評「シャーロック・ホームズの素敵な挑戦」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1976年アメリカ=イギリス合作映画 監督ハーバート・ロス
ネタバレあり

小学生の時学級図書にホームズ・シリーズとルパン・シリーズがあった。最初に手に取ったホームズの一冊が余り好みに合わず、次に手に取ったルパンにのめり込むことになる。ところが、ルパンが年齢が進むとどうかと思うところがあるのに対して、ホームズはそういうことにならない印象を大人になった僕は持つようになっている。

さて、この贋作を最初に観たのは東京へ出て3年目くらいのことだった。14インチの小さなテレビで観たせいや、恐らくカットのせいで、面白かったが期待ほどではなかった。鑑賞条件の悪さに加え、僕がまだ大人の洒落っ気を心底理解できる年齢でなかったということもあるだろう。しかし、その20数年後、今から11年前に再鑑賞した時は「なるほどこれは面白い」と感心したのだった。勿論今回も大いに楽しませて貰った。

まず開巻、ワトスン博士に扮する生粋の米国人俳優ロバート・デュヴォールの英国訛りに思わずにやり。続いてニコル・ウィリアムスン扮するホームズがコカイン中毒で休業中という点。原作に沿い、かつ、応用して本作の卓抜した面白さに貢献している。
 続いてモリアーティ教授(ローレンス・オリヴィエ)の登場。彼は真作でも登場する重要なライバルで、少年時代のホームズの家庭教師だった人物。この作品では傍流の人物というか、彼をウィーンに行かせる為だけに登場するのだが、ホームズのコカイン中毒の謎に繋がっている。

教授を追ってウィーンへ行くと、何とこちらは実在したジグムント・フロイト(アラン・アーキン)の登場である。彼もホームズに倣って推理に冴えを見せるばかりか、ホームズの中毒の謎をも解明する。考えてみれば、心理分析と探偵の推理は双子の兄弟みたいのものである、と妙に納得させられた。

療養中の美人歌手(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)誘拐に絡み、その愛人で彼女をトルコのパシャに売り渡そうと企む男爵(ジェレミー・ケンプ)を汽車で追跡。個人的にはここが一番嬉しかった。煙を猛然と吐く機関車同士の追跡、しかもスピードを出す為に列車に使われている木材までくべてしまう。さらに列車の上でチャンバラ。これで嬉しくならなかったらへそ曲がりである。厳密に言えば、ややご都合主義の追いかけっこではありますが、いやぁ、実に楽しい。

監督のバーバート・ロスより原作・脚本のニコラス・メイヤーに感謝する次第。

ダウニー氏のホームズに比べれば、地味だけどクラシックな味わいで断然優りますです。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

ナイス

この記事へのコメント

ねこのひげ
2014年01月19日 16:39
ダウニー氏のは現代的アレンジでそれなりに面白かったですが、おじさんとしてはクラシックなほうが好みですな。
NHKでやっていたシリーズもよかった。
オカピー
2014年01月19日 18:01
ねこのひげさん、こんにちは。

>ダウニー氏
第一作の方がクラシックで良かったかな。

贋作ではTVでも映画館でも観たビリー・ワイルダーの「シャーロック・ホームズの冒険」というのも悪くなく、また観たいのですがねえ。最近出ませんなあ。

>シリーズ
幾つもシリーズがあって訳が解らなくなっております。
面倒臭いから結局観ないのですが、ちと反省しないといけないようです(笑)

この記事へのトラックバック

  • 映画評「パディントン2」

    Excerpt: ☆☆☆★(7点/10点満点中) 2017年イギリス=フランス=アメリカ合作映画 監督ポール・キング ネタバレあり Weblog: プロフェッサー・オカピーの部屋[別館] racked: 2019-01-19 08:20