映画評「ロック・オブ・エイジズ」

☆☆★(5点/10点満点中)
2012年アメリカ映画 監督アダム・シャンクマン
ネタバレあり

「ロック・オブ・エイジズ」はザ・バンドの名ライブ・アルバムだが、全く関係ない。1987年のロサンゼルスを舞台背景としたロック・ミュージカルで、有名なロック音楽が多く使われているのでゴキゲン、と言いたいところだったのにダメでした。お話が青春映画の定石通り、人物造形も型通りでつまらなすぎる。ミュージカルだから高級なテーマを求めるのは野暮だが、お話に先への興味を繋げるレベルは求めてしかるべし。

田舎からLAに出てきた歌手志望の娘ジュリアン・ハフが同じ年頃の若者ディエゴ・ボネータと意気投合して、彼の勤めるライブハウスでウェイトレスをしながら歌手を目指すことにする。
 ところが、若者は、退廃的な生活を送っているベテラン・ロックスター、トム・クルーズの前座を務め終えた後、彼女の後から出てきたクルーズの行動を勘違いして彼女を振ってしまう。彼はクルーズのマネジャー、ポール・ジアマッティに気に入られたものの、アイドル・グループとして売り出される不本意。彼女もウェイトレスでは食えないのでヌード・ダンサーに転身する不本意。
 クルーズはローリングストーンズ誌の女性記者と相思相愛になり、ボネータの作った曲“ドント・ストップ・ビリーヴィン”(勿論、本当はジャーニーの曲)を取り上げて怠惰な生活から蘇り、かくして若者はロックスターの端緒につくと共にジュリアンとも和解する。

使われている音楽は、背景より数年古く、僕がまだリアルタイムで一生懸命聴きレコードも買っていた1980年代初めから中盤にかけての曲が多く、嬉しくなくもない(現在この時代のアルバムをCDで買い直しているので懐かしいという感じはない)。ジャーニーでは外に“お気に召すまま”Anyway You Want It やスティーヴ・ペリーのソロ“オー・シェリー”(ヒロインの名前)、フォリナーの“ガール・ライク・ユー”Waiting for a Girl Like You “ジュークボックス・ヒーロー”“アイ・ウォント・トゥ・ノウ・ホワット・ラブ・イズ”、スターシップの“シスコはロック・シティ”We Built This City、ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツの“アイ・ラブ・ロックンロール”、スコーピオンズの“ハリケーン”Rock You Like a Hurricane といったところが特に有名。

既成の曲を台詞代りに上手く使っているし、“ジュークボックス・ヒーロー”と“アイ・ラブ・ロックンロール”のクロスカッティング手法も一定の興味を引くが、お話の凡庸さはどうにもならない。「ロックンロール・ハイスクール」同様にロックは風紀を乱すとデモを行なうキャサリン・ゼタ=ジョーンズ率いる女性グループが歌うのがロックなのはいかにも変である。映画は何事も一貫した方が良いが、こんなことは一貫しなくて構わない。

若いお二人は歌が上手い。これは上手いから起用されたのであろうから当然。それより、意外や意外、トム・クルーズがロックを上手く歌いこなせているのにびっくり。イーサン・ハントを演じている方が似合いますがね。

ハリウッド無気力シンドロームを象徴する一作なり。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2013年08月16日 02:04
正直・・・・何を目的に作られたかよくわからん映画でありました。
トム・クルーズは、ボイストレーナーなどをつけて半年ぐらい練習したそうですけどね。
話が・・・・ね(^_^.)
もう少し違う方向に持って行ってほしかったですね。
使い古された話でした。
同じく音楽は楽しめましたですけどね。
浅野祐都
2013年08月16日 15:31
トム・クルーズ扮するロックスター。オジー・オズボーンとレッドチリホットペッパーズのアンソニーが混ざってきて、なんともいい感じでした。あの身体は相当鍛えてますね。さすがです。
指が太いのがロックスターらしからぬ印象でしたが・・。あと、メアリー・J・ブライジは何を歌っても上手い。

細かいとこでは、タワーレコードの中で主人公2人が踊るときに映るレコード棚、Dokkenの横にThe Doors "Waiting for the Sun"が並んでたんですよ。Dだから当たり前なんですが、なんか印象的だなと・・。

当時は、馬鹿にしてましたが、今聞くと、ハードロック最高!って思いますね(笑)
オカピー
2013年08月16日 19:16
ねこのひげさん、こんにちは。

最近はミュージカルと言ってもロック・ミュージカルが多いので、どうしても青春映画寄りになりがちなわけですが、ミュージカルでなければこの脚本のレベルではゴー・サインが出なかったでしょう。
既成曲を上手くお話に当てはめたなあという感慨が湧くくらいで、お粗末でした。
オカピー
2013年08月16日 19:41
浅野祐都さん、こんにちは。

>ハードロック
ふーむ、オジーは解りますが、レッドチリホットペッパーズ辺りになると曲は知っていてもメンバーが解りません。どうもすみません。
ディープ・パープルでハードロックに入り、当初はレッド・ツェッペリンより肌に合う感じでしたが、ヘヴィメタルは結局ダメでしたなあ。
フォリナーはポップな感じで、アルバム「4」はよく聞きました。本作はその中から二曲使われていました。ポップすぎて、どうもイアン・マクドナルドとは余り結びつかないのですが。

ストレートなハードロックは良いと思います。
レインボーなんか聴くと、ど演歌を聴いているような感じもありましたか、如何です?(笑)

>ドアーズ
ドアーズ・ファンですから気付きましたよ^^
ジェファーソン・エアプレインの輸入盤5枚組を買って聴いておりますが、通じて聞きますと、同じ時代のドアーズと似たところが意外なくらい多いと気付いて驚きました。有名な曲だけ聴いていると解らないものだなあ、と思います。そのエアプレインのなれの果て(笑)スターシップの「シスコはロック・シティ」を聞いた時、「あなただけを」から聴いているロック・ファンとしては“カンペンしてよ”という感じだったものです。

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