映画評「早射ち野郎」

☆★(3点/10点満点中)
1961年日本映画 監督・野村孝
ネタバレあり

懸賞金の出ている強盗犯と称する死体を携えてある町に現れたヘンリー・フォンダが、若い保安官アンソニー・パーキンズに金を渡すように要求するが、彼は死体が誰か確認できるまでは留保すると言い張る。怪しい男に泊めてくれるところもなく、偶然知り合った少年の家に泊めて貰えることになる。少年は父を失って母ベッツィ・パーマーと二人暮らしである。
 一方、保安官には恋人メアリー・ウェブスターがいるが、彼女から危険な職業であると結婚は保留されている。町にはシェリフの地位を狙っている悪漢ネヴィル・ブランドがいる。彼の姦計に気付いたフォンダは心もとないパーキンズを鍛え、紆余曲折を経て、保安官は遂にブランドを倒す。

本稿を読み始めたヴィジターの方は「あれっ、オカピーさん、作品が違っているよ」と首を傾げているに違いないが、間違いではありませぬ。上記は僕の好きなアンソニー・マンの秀作西部劇「胸に輝く星」(1957年)の梗概であり、それが即ち、日活アクション「早射ち野郎」の梗概なのである。

フォンダを宍戸錠、パーキンズを杉山俊夫、ベッツィーを笹森礼子、メアリー嬢を吉永小百合、ブランドを金子信雄に変えればそれで済むというわけ。因みに、少年は後にフォー・リーヴズの一員となる江木俊夫であります。

勿論多少の差異はある。アメリカ版では母子だったのが日本版は姉弟になり、二人が主人公と結ばれることなどはありはしない。日本なのにサルーンを経営している金子信雄は裏では現金輸送車襲撃の主犯であり、ぐっと単純化されている。
 主要人物の性格をなかなか緻密に造形した為に面白くなったオリジナルに対し、本作は流れ者が保安官(警官)を教育するというお話だけ戴いて性格描写の方は類型の極みである為、それほど面白くない。日活アクションにきちんとした人物造形を求めるのは甚だ筋違いではありますけどね。

日本なのにまるで町並みはアメリカ西部そのもの、店の名前が殆ど横文字というのは、無国籍映画を標榜しているとは言え、前稿「赤い荒野」以上に無茶が目立つ。まあそれは解って観ているから良いが、このお話はやはり人物造形がしっかりして初めて本質的に面白くなるタイプなのであって、そこを理解せずに作ったのは製作陣のミスである。余りに露骨に拝借しているのに呆れて星は少なくしたが、それでも宍戸西部劇の中ではお話すら破綻していた「メキシコ無宿」と比較すれば大分まともで、日活アクション的な枠組みの中で観る限りは必ずしもつまらなくない。

この頃はしきりにぱくられていたアメリカ映画でありますが、四半世紀後には様相が逆転するわけ。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

面白い

この記事へのコメント

ねこのひげ
2012年11月26日 04:30
宍戸錠さんのほっぺたをよく覚えてます。
まさか整形とはね。
いまもかっこいいですが・・・息子の宍戸開さんの名前開は、錠に引っ掛けてつけられたそうです。
シャレたことをしますな~

つぎは『荒野の七人』ですかな?
ユル・ブリンナー、スティーブ・マックインなどそうそうたるメンバーでありました。
のちに作られたSF映画『ウェスト・ワールド』には、笑いましたがおもしろかった。
オカピー
2012年11月26日 20:02
ねこのひげさん、こちらにも有難うございます。

>整形
聞いた時僕もびっくりしました。

>宍戸開
どうもそうらしいですね。
これはメール友達になっている元同僚に聞きました。

>「荒野の七人」
にはなりませんでしたけど、ブルーレイにハイビジョン保存してありますので、久しぶりに観てみようかな。

>「ウエスト・ワールド」
SFX時代だけにこういうのは異色作として注目されましたよね。
僕も面白いと思いました。
続編の「未来世界」はちょっと落ちた。

この記事へのトラックバック