映画評「ちいさな哲学者たち」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2010年フランス映画 監督ジャン=ピエール・ポッジ、ピエール・バルジエ
ネタバレあり

フランスからは幾つか教育に関するドキュメンタリーが輸入されている。他の国でも作られていないわけではなく、配給会社の購買意欲の問題なのだろうが、とにかくフランスは教育熱心な国であることが伺われる現象と言うべし。

本作は、フランスはパリ、セーヌ地区のZEP(教育優先地区)にある幼稚園を舞台に、3歳の幼稚園児に二年間哲学を学ばせる過程を記録したものである。
 パリだけに白人、黒人、東アジア系、アラブ系の様々な子供たちが登場してくる。同じことをやっても日本ではこうならず、テーマも自ずと変って来る部分もあるだろう。

先生は児童たちに考えを口に出すことから教え始める。思っているだけでは相手には解らない。それも園児自らそういう発想をするように導くところからして、正に哲学である。先生はそういう発言の出た授業の結果に昂奮を禁じえない。
 かくして、恋と友情との違い、男女の違い、貧富、違いの意味、自由といったテーマに討論(対話)形式で進めて行く中で、結局は親の言っていることの受け売りをしているに過ぎない子供たちが確実に進歩して次第に自分独自の考えらしきものが増えて行くように感じられる過程がなかなか感銘的で、その中でも相手が自分とは違う考えを持っていることを知り、違う考えの者に対して暴力をもって解決しないことを学ぶ部分が印象深い。それ自体は映画のテーマではないが、結局争いの多くは考えの違いから始まっていることを考えても大変意義深い。先日「報道ステーション」で紹介されたシリアのイスラム原理主義者の発言など馬鹿の極致に思えてくる。

「自由」を討論する頃には、自分の思っていることをかなり正確に言葉に表し、かつ、相手の発言も考える力が付いていることに目を見張らせられる。こういう教育が最終的には平和な世の中を築く小さな一歩となることは間違いない。かかるドキュメンタリーに対し映画としての評価を下すことに大した意味はあるまい。☆は僕がどの程度個人的に興味を持てたかどうか示しているだけである。

この映画を観て大学時代以来プラトンを読む気になり、図書館から借りてきました。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2012年10月21日 06:28
しかし、教育熱心なのはいいけど・・・白人優越主義を生み出すのはいかんですな・・・・・
フランスの有名なコメディアンの司会者が、ゴールキーパーの川島の腕を4本にした画像を見せて、福島のせいかも~と言って笑いを誘う・・・観客も笑っていたけど・・・
しかも、それを謝るどころか、また同じようなことを喋る。
ナチスドイツと変わらないんことに気がついてないんだな~

フランス国内でもかなりの避難を浴びているようですが、番組を下ろされないんだからね~

フランス人の上から目線を治す教育をして欲しいです(~_~;)
オカピー
2012年10月21日 21:27
ねこのひげさん、こんにちは。

そういう輩はちゃんと教育を受けていないんでしょ(笑)。
いずれにしても、経済が悪くなると外国人が排斥されるのは欧州どこの国に行っても同じ。平凡な人間というのがやはり自分が可愛いんですよね。

僕の経験から言っても、フランス人は傲慢ですからなあ。しかし、日本の官僚のデタラメはもっとタチが悪いかも。魑魅魍魎と言っても良いですよ、奴らは。政治家では無理なので、陰陽師の安倍晴明にでも頼むしかないですかな(笑)。

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