映画評「隠された日記 母たち、娘たち」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2009年フランス=カナダ映画 監督ジュリー・ロペス=クルヴァル
ネタバレあり

この5日間で3本のカトリーヌ・ドヌーヴ主演、それも家族の確執を描くドラマを観る羽目になった。良い場合もあれば悪い場合もあるが、今回の場合はどちらかと言えば分散して観たいところでしたな。

カナダで働いていた娘マリナ・ハンズが、フランスの風光明媚な海辺に住む実家へ戻って来る。恋人もどきの男性の子供を孕んだことを内科医の母親カトリーヌと相談する目的もあったが、娘に出て行かれたと思い込んでいる母親はぎすぎすしてそんな雰囲気になれず、先年亡くなった祖父の家で過ごすことにする。
 そこで半世紀前母親の少女時代に家を出たとされる祖母マリー=ジョゼ・クローズの日記を発見、そこにはまだまだ封建的だった田舎町で自立を求める祖母の苦悩が綿々と綴られている。

祖母は母に自由に生きる女性になりなさいと言った後姿を消していて、強い自立への希求と言う意味では非常に似た三人の母娘たちなのだが、カトリーヌは捨てた母や海外へ逃げた娘への憎しみを簡単に消すことができない。ところが、彼女は娘が母(祖母)の日記を発見したことに驚き、母が消えた日父親が泥まみれだったことを語り、娘と認識を共有することで苦悩とわだかまりが消えていく。

母親(祖母)の失踪が父親(祖父)の殺人だったというミステリーとしての結末が待っているわけで、(祖)父の殺人をなかったことにして(祖)母を悪者し強い女性を半世紀に渡って演じてきたカトリーヌの偽装を、祖母の日記が暴き立てると同時に母娘の仲を修復する、という展開は上手く出来ているが、些か作り物めいた感は否めない。

僅か半世紀の間に女性の自立の様相も全く変わって来たが、連綿と続く母性だけは変わらないという内容ととりあえず理解しておきましょう。

メガフォンは若手女性監督ジュリー・ロペス=クルヴァルで、マリナがマリー=ジョゼと交錯する、トランジション・ショット(時系列の違う人物などが同一画面に映ること)が目立つが、最後の方になると実体的に交錯するのでマリナが祖母の幽霊を観るような扱いになり、所謂トランジション・ショットとは若干違うものになってくる。

三人の女優陣のアンサンブルはなかなか見事。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2012年02月02日 07:26
殺していたのか!?で戸惑いました。
最初は、フランス映画によく見られる母子の確執を描いただけと思っていたので・・・
しかし、カトリーヌ・ドヌーブ。いまも活躍ですごいですね。

そういえば、今年、高倉健さんも80歳で映画の主演をしてますね。
オカピー
2012年02月02日 22:01
ねこのひげさん、こんにちは。

最後はちょっと意外でした(@_@;)

>カトリーヌ・ドヌーヴ
出演作が絶えませんね。
しかし、本人に言わせると、なかなかオファーが来ないのだとか?

>高倉健
この間ラジオでも言っていました。健さんも80歳か。自分の年齢を考えれば・・・ね(笑)
2012年02月03日 10:57
こんにちは。
僕もDVDですが、ドヌーブの作品を相次いで3本見ました。
ちょっとお肉がついていますが、存在感がありますね。
オカピー
2012年02月03日 11:47
kimion20002000さん、こんにちは。

余り同じようなのを続けて観ると後から観る作品がちょっと損をする場合があるので、なるべく避けているのですけど。

>ドヌーヴ
貫禄が付きましたが、空白期間がないのでずっと同じイメージがありますね。
シュエット
2012年02月17日 10:37
「しあわせの雨傘」と本作、それから「クリスマス・ストーリー」とドヌーブ出演の最近作を見て、それぞれにキャラクターの違う女性を演じたドヌーブに、やはり存在感のある女優だわって再認識。
ただ、本作、父親が母親を殺していたっていう結末がいささか安直過ぎるし、2代にわたる母と娘の確執も無理やりにって感じで~この6点よりか5点の「リッキー」の方がずっといいよ~(笑)
オカピー
2012年02月17日 21:01
シュエットさん

>「リッキー」の方がずっといいよ
本日二度目の・・・どうもすみません(笑)

ずっとソフトな作品が続いていたので、ちょっと冷ややかな感じがするこの作品のムードを買いました。
しかし、これこそアイデア倒れのところがありますね。
ドヌーヴは体型の迫力も凄いけど(笑)、大した女優になりましたね。

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