映画評「ラブファイト」

☆☆★(5点/10点満点中)
2008年日本映画 監督・成島出
ネタバレあり

まきの・えりの「聖母少女」を成島出が映画化した青春映画。

喧嘩が苦手な高校1年生・林遣都は幼稚園の時から幼馴染の美少女・北乃きいに助けて貰ってきたものの、内心忸怩(じくじ)たる思いがあり、同級生の暴力から救ってくれた大沢たかおに誘われるまま彼のボクシング・ジムの門を叩く。彼に憧れて同じ高校に入って来た藤村聖子も一緒に入門する。内緒にしていたのにきい嬢が伝え聞いてこれまた入門、元々喧嘩が強かった為めきめき実力を付けていく。

「ラブファイト」というタイトルなので、この三人の三角関係を描くのかと思いきや、実際には「愛」と「ファイト」を描こうとしている模様。模様と言わざるを得ないのは、強調すべき本流と言わば触媒に留めるべき傍流エピソードの区別が曖昧で狙いが不鮮明になっているからである。

主人公は喧嘩を仕掛けて来る相手からだけでなく、小さな時から助けられている為に無意識に幼馴染に対する若しくは彼女からの思慕の情からも逃げていたように思われる。つまり、きい嬢にとって意識せざる恋のライバルは聖子嬢ではなく林君の内面であった、というお話である。

かくしてボクシングを始めることで喧嘩とも自分の内面とも向き合うことができる、という具合にお話は一通り収束しているので、ちょっとエピソードのバランスを変えるだけで2ランクぐらい良い映画になった可能性がある。
 具体的には、世界チャンピオンにもなれる可能性を女優・桜井幸子との恋愛の為に棒に振った大沢会長のエピソードを現状のようにじっくり描かずに若い二人の化学反応を進める触媒の役目に徹底するなどすれば佳作と言える出来映えになったはずだ。先日の「やじきた道中 てれすこ」でも疑問を覚えた安倍照雄の脚色にやはり難がある。

スポーツものお得意の林君の動きはなかなか良いが、北乃きい嬢がそれ以上に奮闘している。女優のアクションとしては大収穫の部類でしょう。

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この記事へのコメント

ねこのひげ
2011年02月08日 19:53
ねこのひげも、どうせ・・・・と思って観てましたが、北乃きいさんには驚きました。
だいたいアイドル系の女優は、殴ったり蹴ったりすると、貧弱で観れたものではないのですがね。
大沢と桜井の恋愛を出すことで二分されてしまいましたね。
面白さも二分されてしまった感じです。
どっちが主役?かわからんではないか?ですね。
オカピー
2011年02月08日 22:54
ねこのひげさん、こんばんは。

>北乃きい
素晴らしかったでしょう!
昔のアクションものを観ると、女性のアクションはちょっとロングにして男性スタントを使うケースが多いですね。
その昔「空手アマゾネス」というC級映画を観たら、女性のアクションを尽く男性スタントがやっているのにがっくりしました。尤も僕はお色気目当てに観たんですけど(笑)。

>どっちが主役?
起承転結的には主人公は一人なのに、脚本家に色々描きたい色気があったようで、中盤群像劇みたいになっていましたね。
計算が良く出来ないまま作ってしまった感じです。

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