映画評「ジャック・メスリーヌ/パブリック・エネミーNo.1 Part.1」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2008年フランス映画 監督ジャン=フランソワ・リシェ
ネタバレあり

劇場公開時の邦題は「ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵(パブリック・エネミー)No.1と呼ばれた男 Part 1 ノワール編」とかなり長い。
 「全ての映画にはフィクションの要素があり、一人の男の人生を忠実に再現することは出来ない」という序詞は、端的に言えば「本作は実話の映画化である」という意味である。

華麗なる賭け」など1960年代末か70年代初めの映画を思い出させる、なかなか興味深い分割画面から本編が始まるが、この場面の正確な意味は第2部まで解らない。

アルジェリア戦線から帰国したジャック・メスリーヌ(ヴァンサン・カッセル)は悪友ポール(ジル・ルルーシュ)に紹介されたギャングのボス(ジェラール・ドパルデュー)と組んだことから重犯罪に手を染め始め、スペインで知り合ったソフィア(エレナ・アナヤ)と結婚した直後銀行強盗に失敗して服役、出所後は正業に就くが、失業した為に再びヤクザな稼業に戻り、ないがしろにした妻には帰国されてしまう。
 三人の子供を両親に見て貰って強盗稼業に邁進するある日ジャンヌ(セシル・ド・フランス)と知り合って意気投合、ボニーとクライドよろしく強盗に明け暮れるが、煮詰まってカナダへ逃亡、懲りずに繰り広げた犯罪により御用となって重犯罪者専門のUSC(特別懲罰刑務所)に服役、屋外に出ている時に隙を見て鉄条網を破り相棒(ロイ・デュプイ)と脱獄する。

フレンチ・ノワールとしてはリュック・ベッソン以前のスタイル、即ちダイナミックな描写やスピーディーな展開を本領とするアメリカ映画と違って登場する人物をある程度掘り下げつつムードを重視しながらじっくりかつ即実的に描くタイプである。従って、ハリウッド映画と同じスタンスで見ていくと少々退屈することは避けられないが、フランス流を理解して見れば、主人公がかつらをとっかえひっかえ出て来る様子にはユーモアも感じ取れ、なかなか面白く見られる。

気に入らないのは、アクション場面になると途端にカメラが大きく揺れ始めることである。甚だ見にくい。本来神の視線である客観映像では“カメラが揺れる=撮影者の介在=臨場感”という公式を成り立たせるべきではない・・・などという映像言語上の理屈より前に、見にくいのはいかんでしょう。

揺れる映像以外は意外と懐かしい香りがします。

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この記事へのコメント

シュエット
2010年11月10日 17:00
わ~い!一番乗り!
ってきっとコメント入れるのって私だけ?
本作公開時、ハリウッドではジョニー・デップ主演の「パブリック・エネミー」も公開されて、私はこの方は知らなくって、ええっフランス映画にジョにーデップが出るの?!って驚いて、映画情報を良く見るとアメリカのパブリック・エネミーと、本作はフランスのパブリック・エネミーで別物ということが判明。デップの方は観てもおりません。
ヴァンサン・カッセルだもんね。公開初日劇場までいそいそと。パート1終って15分休憩あって、続いてパート2。もちろんチケット代は2作品分。
>気に入らないのは、アクション場面になると途端にカメラが大きく揺れ始めることである。
スクリーンとテレビ画面との違いかしら? あまり気にはならなかったように思うけど…
とにかく本作はヴァンサン・カッセル堪能の映画でした。
続きパート2へ行かせていただきます。

オカピー
2010年11月11日 10:59
シュエットさん、こんにちは。

>コメント
最近金欠病ならぬコメント欠病でして。^^;
金のない人が多いものの金欠病などという言葉ももう死語ですかね。

>アクション場面
まあ「ボーン」シリーズなどと違って絶対量が、特にこの第一部では少ないので、そう感じられなかったのではないですか?
こちらがカメラの揺れを気にし過ぎている傾向が無きにしも非ずですが^^;

>チケット代は2作品分
実際には一つの作品なのだから、昔の超大作みたいに一作分なら親切なのにねえ。

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