映画評「ダーティハリー2」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1973年アメリカ映画 監督テッド・ポスト
ネタバレあり

ダーティハリー」第1作は僕が最も愛する刑事映画だが、このシリーズ第2作は初鑑賞以来ご無沙汰なので、大いに食指が動かされた。

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殺人容疑で訴えられた労働組合を牛耳っているギャングが無罪放免になって自動車で移動中白バイの警官に子分共々射殺されるのを手始めに、自宅のプールでパーティを開いていたマフィアのボス、売春婦のヒモや麻薬組織の親玉が次々と殺される。一番最後の犯行ではベテラン警官も捜査撹乱の為に殺される。

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一連の犯人が白バイの警官というところまでは解るものの、観客にも正体は解らない。そこでここからは半ば倒叙ミステリーの趣向となって、殺人課に復帰した刑事ハリー・キャラハン(クリント・イーストウッド)が犯人探しを開始、使っている銃の種類から物凄い射撃の腕を持つ交通係の警官デーヴィッド・ソウルがどうも怪しいと睨み、警察の射撃試験場に残された彼の銃弾を拾い出して鑑定する。
 この捜査模様がなかなか面白いが、ハリーの追及を待つまでもなくソウルをリーダーとする白バイ四人組が正体を現して自警団の仲間になれと要求、それをはねつけたハリーは彼らと造船所で対決することになる。

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娯楽作品における自警は御定法で裁けない巨大な相手を民間人が密かにやっつけるというパターンが多いが、自らの命を張って逮捕した悪党がむざむざと無罪放免にされることに業を煮やした警官たちがそうした悪人どもを倒していくところに本作の面白味がある。しかも、その彼らを英雄視せずに、悪法だろうが何だろうが全ての犯罪は現行法で裁かれねばならないという立場を取っているのが益々興味深い。

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しかし、本作の真の価値はそんなところではなく、数多い見せ場をじっくりと見せたことである。その為に序盤から中盤にかけて売春婦とヒモを延々と描いたシークェンスなどジョン・ミリアスとマイケル・チミノの脚本に無駄な部分があってまだるっこさが否め切れないとは言え、続編としては稀に見る快作と言うべし。

監督さん、ドン・シーゲルのポスト(後)はつらかったでしょう。

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この記事へのコメント

2010年06月01日 00:40
こんばんは。お父様の手術の件、大変でしたね。
でも無事にレビューも再開されていて何よりです。

さて、「ダーティハリー」ですが、1も2もオカピーさんと同じ★の数です!
2作目って大抵、しょーもない作品になりがちなのに、本作はなかなかの面白さでした。
他に「2作目も傑作」な作品は思いつくところで、「ゴッドファーザー」「ボルサリーノ」あたりでしょうか??
「荒野の用心棒」もゼミ生のわたし的には入れたいですが、オカピー先生的にはちょっと微妙でしょうか? 笑

ところでここに書かせて頂くのは恐縮なのですが、実は過日に弊blogで過去記事の整理をしまして、「Onceダブリンの街角で」と「トリノ、24時からの恋人たち」を諸事情で記事削除してしまいました。
せっかくコメントを頂いていたりしましたのに、本当に申し訳ありません。
お詫びまで。。。(ごめんなさい。。。)
オカピー
2010年06月02日 01:29
RAYさん、こんばんは。

父親についてはご心配をお掛けして申し訳ございません。
記事が書けなくなる可能性があることを案じて、書かせて戴きました。

>「2作目も傑作」
「フレンチ・コネクション」も良いですよ。
逆に「ポセイドン・アドベンチャー」には参りました。^^;
「荒野の用心棒」の本当の続編は、実は「続・夕陽のガンマン」なのでややこしいのですが、どの作品を指しているのでしょうかなあ。^^
長いことを別にすればセルジョ・レオーネのマカロニ・ウェスタンはレベルが高いとは思います。ちょっとくどいですが。

>「Onceダブリンの街角で」と「トリノ、24時からの恋人たち」
ええっ!(と大仰に驚く)
ページをパソコンに保存しておけば良かったなあ。
寧ろ、“諸事情”の方が気になりまする。
2010年06月02日 22:26
>フレンチ・コネクション

あ、「1」しか観ていませんでした!
今度、ぜひ「2」も観てみます。

>「荒野の用心棒」の本当の続編は、実は「続・夕陽のガンマン」

ふふふ、センセイ、もちろん存じておりますし、これを指しておりました!
セルジオ・レオーネの3部作、大好きで、コドモの時に父親とTVで観て、全制覇ですから。
たしかに今観ると、ちとクドイですね 笑
なぜか幼少時は「これがヒロイズムだ!」と刺さってしまったんですが。
タイトルだけ「続」で全然関係無い「続・荒野の用心棒」も棺おけシーンにKOされハマったのですが、当時、母親が怪訝そうな顔をしていました。
「女の子なのに、なんでこんな映画好きなのかしら?」と 笑

>寧ろ、“諸事情”の方が気になりまする。

この件、ほんと、すみませんです。。。
大して事情ではないのですが、理由の一つは描いたイラストがおそろしく気に入らなかったからで。
その他の理由は・・・まあネット・コミュニケーションで昔、少しメンドーなことがあったりで。
わかりにくくてすみません。陳謝でございます。
オカピー
2010年06月03日 00:45
RAYさん、こんばんは。

僕らの少年時代はマカロニがTVに出始めた頃で、ジュリアーノ・ジェンマが第一人気だったなあ。
脇役のリー・ヴァン・クリーフもかなり人気がありました。
作品の質から言えば、レオーネ監督作品が断トツでした。セルジオ・コルブッチなんかはズームを使いすぎて苦笑が出てしまう。
どの作品も音楽が格好良かったですよね。

>「続・荒野の用心棒」
ああ、これコルブッチね。(笑)
結構人気で、先年邦画「スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ」がパロディー化していました。主題歌を北島三郎に歌わせる凝りようでしたが、ご存知ですか?

確かに女の子のマカロニ・ウェスタン・ファンは少ないです。でも、姉も義姉(と言っても年下ですが)もGGが好きだったですけどね。

>ネット・コミュニケーション
ふーむ、昨年ある方がそれでブログそのものを止めてしまいましたから、そんなことだけはならないようにね。
2010年06月03日 18:57
プロフェッサー、こんばんは。

このハリーの2作目は、たしか、「マグナムフォース」という原題でしたよね。
ハリーシリーズはすべて数字でないタイトルがついているところも私は好きです。

さて、この2作目、めずらしくハリーの自宅が描かれているのも面白いですよね。
個人的な想いとしては、ハリーの私生活な部分などはあまり描いてほしくないといのが本音ですが。
1作目はハリーが自分のことをあまりしゃべらないところが私は好きなんですよね。

なかなか面白かった記憶はありますが、やはり1作目が良すぎますよね。
最後も44をぶっ放してほしかった。

まあ、私も何回も鑑賞している作品ですが、最後に鑑賞したのはもう何年も前で、詳細が思い出せません。
パイロットに化けたりするのが2でしたよね・・・・。
私も近いうちに再見しようかな。





オカピー
2010年06月04日 00:07
イエローストーンさん、こんばんは。

>「マグナムフォース」
ザッツ・ライト!
仰る通り数字のタイトルはサブタイトルがあっても味気ないですね。

>ハリーの私生活な部分などはあまり描いてほしくない
一種の英雄ですからね、僕も私生活は余り見せるべきではないと思います。
スパイものほど絶対的に不要とも思いませんが、「刑事マディガン」みたいな性格の刑事ものならいざ知らず、この手のサスペンスやアクション系ではプラスになる可能性は殆どないでしょう。

>1作目
痺れましたねえ。
ドン・シーゲルの切れとパンチを見ると、他の作品はちょっとという感じになります。

>パイロット
そう、本作ですね。
主人公の紹介エピソードですから無駄と言えば無駄な場面ですけど、まあ格好良いので許してしまいましょう。
2010年06月04日 18:36
プロフェッサー、こんばんは。

昨夜、あれからDVDで鑑賞してしまいました。
タイトルバックも強烈でしたね、赤いバックに構えた44の大写し。

また、私は映画、つまりノーカットは数回しかみてないですね。多くみていたのはテレビ版でした。友人の妻を訪ねるシーンなどあまり記憶がなく新鮮でした。

あと当然字幕でみたのですが、イーストウッドはどうしも山田康夫のイメージが強く、台詞も日本語で耳に残っているものも多くありす。その違いも楽しんで鑑賞しました。

それと、銃を撃つシーンが妙に新鮮でした。
つまり、今は、というか80年代半ば過ぎからジュン・ウーの香港ノワールや「リーサル・ウェポン」、「ダイハード」などでベレッタが多く使われ、15連発というその特製から派手な連射シーン(時には両手撃ち)が中心となり、現在も目にするのはオートマチックの連射ばかり。
リボルバーの大型拳銃を1発づつ撃つシーンは妙に新鮮で、迫力がありました。

2の記事で、1の話ばかりで恐縮ですが、あの銀行強盗にホットドッグをほおばりながら44を撃つシーンはしびれました。

このまま5まで見ちゃおうかな。

ではまた。
オカピー
2010年06月05日 00:41
イエローストーンさん、こんばんは。

>赤いバックに構えた44の大写し
ニューシネマ後期らしいシンプルなタイトルバックで、確かに強烈でしたなあ。

>友人の妻を訪ねるシーン
2時間強の作品ですからTV放映ではカットされていたでしょうね。

>銃を撃つシーン
そう言われてみると・・・。
銃については僕は疎いから、うっかりしていました。^^;

>5まで
NHKのハイビジョンでやっていましたけど、当方はとりあえず2まで。
とにかく色々なジャンルの作品を見まくっていますから。^^

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    Excerpt: DVDでもってるのですが、また見てしまった。何度みているだろう。 Weblog: 取手物語~取手より愛をこめて racked: 2010-06-04 18:39