映画評「デュプリシティ~スパイは、スパイに嘘をつく~」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2009年アメリカ映画 監督トニー・ギルロイ
ネタバレあり

ポジ・フィルムのコピーを業界でデュープと言うが、そのデュープと同じ語源を持つデュプリシティの意味は“二重性”である。本作では、多義的に使われている中でまず二重スパイを指していると理解できる。

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ヒロインのジュリア・ロバーツはトイレトリー企業の大手B&R社でライバル会社の情報を収集する分野で活躍しているが、新興の同業者エクイクロム社の産業スパイ、クライヴ・オーウェンに新製品絡みの情報を渡す。つまり、二重スパイである。

元CIA捜査官の彼女と、元MI6の彼は実は5年前から色々訳ありで、何故二人がこの業界に鞍替えすることになったのかという経緯が二人のスパイらしい騙し合いの恋愛関係を交えながら説明される一方、二つの会社における虚々実々の駆け引きが二人の活動を軸に並行して語られていく。

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異なる時系列の往来が面倒くさいという点はあるが、過去の話は断続的に現在に近づいてくる構成で、そこに現在進行形の物語が入るだけなので案外解りやすく、ロマンティック・コメディーと言うべき性格をもう少し前面に押し出せば現状より大分面白い作品になったのではないかという気がする。

と言いつつ産業スパイものとしても本格的で、どっちつかずという印象になっていないのは大したものである。分割画面を利用した場面転換も洒落ている。しかし、僕の好みから言えば、幕切れのアイデア案出に力を注ぎ過ぎてロマ・コメとしての洒落っ気に手抜き傾向がある為に誉め切れない。

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作品の出来栄えとは関係ないが、邦題のサブタイトルはダメなようで実はミスリードに上手く貢献している(結果オーライかもしれない)。

情報を盗む産業スパイという意味で21世紀版「おしゃれ泥棒」か。

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この記事へのコメント

2010年04月03日 00:11
こんばんは。
>幕切れのアイデア案出に力を注ぎ過ぎて
同感です。
面白そうな要素が揃っていただけに、先にオチありきといったラストが残念でした。
オカピー
2010年04月03日 15:52
hashさん、こんにちは。

どんでん返し自体はそれほど有難がる必要がないのですが、その驚きの大きさで評価を決める人が多いので、そういう映画も増えるのでしょうね。
最近はどんでん返しが多いので有難味が減っちゃいました。

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