映画評「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」

☆☆★(5点/10点満点中)
2007年日本映画 監督・北村拓司
ネタバレあり

小説だろうが映画だろうが、新味が評価の一番重要な要素であることは間違いない。但し、それに拘り過ぎるとまともな評価はできないし、古い題材も扱いや作り方が良ければ結局良い作品になるということも忘れてはいけない。そんなことを考えつつ本編を見る。原作は滝本竜彦のライトノベル。

友人・三浦春馬が先にオートバイの事故で死んだことを羨み死ぬことを花道にしようと焦る高校生・市原隼人が、セーラー服の少女・関めぐみが上空から雪と共に降りてきたチェーンソー男と闘う現場に遭遇、翌日から連日男と闘っているという彼女を手助けすべく付きまとう。彼女が男を倒す前に彼の転校が決まるが、彼の転校を阻止できるのは男をやっつけることだと彼女は急激に強くなったチェーンソー男に最後の決戦を挑む。

と、これだけを書けば漫画だが、かかる漫画を一般的な青春模様と区別せずに日常の一部のように描いたところに新味がある。
 半ばを過ぎると、このチェーンソー男が家族が事故死して以来彼女の心に巣食った悲痛な思いや不安が具現化されたものであることが解って来る寸法だが、従来の常識ならこの漫画部分はもっとヴァーチャル・リアリティ的に処理されるだろう。少なくとも僕はこんな扱いの作品を見たことはない。

ただ、不安が男の強力化の原因なら、例えば市原君の転校を止めさせるのがチェーンソー男を蹴散らす手段ともなりうるし、ヒロイン自身も漠然とチェーンソー男と自分の精神状態との関連に気付いているようなのに、彼女は抜本的な対策を講じず、結果から原因を変えようとしているように見える。この辺りかなり杜撰な物語設計だ。

アクションはアニメ的だが、気が抜けたような締まりのない処理が多い。各アクション場面の短さは、それ故に日常的な扱いという印象を醸し出す一方で、盛り上がる前に終ってしまうので肩すかしを食らうことは必定。

といった次第で着想そのものは大したことなく穴もあるが、扱いの面白さを買って大甘ながら標準とする。最近の邦画はなかなか僕に6点以上を出させてくれず、やや閉口気味です。

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