映画評「フランシスコの2人の息子」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2005年ブラジル映画 監督ブレノ・シウヴェイラ
ネタバレあり

ブラジルの国民的デュオと言われるゼゼ・ジ・カマルゴ&ルシアーノの伝記映画。

ブラジルの片田舎の農園で小作をしているフランシスコ(アンジェロ・アントニオ)はラジオが大好きで、子供を歌手にすべく妻エレーナ(ジラ・パエス)と励むうちに7人の子供が駆け巡る大所帯になってしまう。
 それでも夢を諦めず家畜を売り払って長男ミロズマル(ダブリオ・モレイラ、成長後マルシオ・ケーリング)にアコーディオンを、次男エミヴァル(マルコス・エンヒケ)にギターを買い与え、二人が家族の為に駅で歌っている時に山師みたいなエージェントにスカウトされるが、全国をどさ回りするうちに交通事故で次男が死んでしまう。

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ここまではユーモアとペーソスが上手く配合され、少年デュオの素晴らしい歌声の効果もあって大変良い感じだが、ミロズマルの成長後は調子が一気に落ちる。アコーディオンと少年の美声がないのが最大要因だが、山師的なエージェントが発散していたそこはかとないユーモアが無くなったということもある。

十数年後年の離れた弟ウェルソンが死んだ次男の代りになるように鳴かず飛ばずの長兄にデュオを組もうと申し出、レコード会社と契約を交わし録音したものの、ヒット曲が出ないとLPの発売が決定されない。それを聞いた父親フランシスコがテープを馴染のラジオ局に持ち込み、偽名でリクエストを繰り返し、同僚たちに小銭を与えてリクエストさせた結果何とNo.1となる。LPが発売されたのは言うまでもない。

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自分で言い出したことを自分で果たす為に懸命に走り回るこの親父さんの行動と心情が微笑ましく抜群。父親の能天気な活躍こそ本作一番の見どころと言っても良いくらいだ。ここで終わったら実に気持ち良い作品だったが、実物が顔を見せる終盤に些かがっかり。
 つまり、人気スターのサクセス・ストーリーという特殊性から普遍的な庶民の生活感が滲み出るところが優れたドラマなのに、その瞬間にスターの伝記という現実に戻されてしまうのである。ブラジルの人々にはともかく我々には有難くない幕切れだった。

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この記事へのコメント

2008年04月17日 12:56
この作品は思わぬ拾い物って感じでした。
とにかく子ども時代の彼らが健気でしたね。
おっしゃるとおり後半はなんだかダレて、しかも最後にご本人登場というね・・・・
第2部ともいえる青春パートは正統派アイドル映画みたいでしたものね。
まだまだ小さい息子を持つわたしにとっては前半のバスステーションが一番のクライマックスでした。
オカピー
2008年04月17日 23:40
しゅべる&こぼるさん、こんばんは!

兄弟が健気に活躍する前半と、親父さんが奮闘する終盤は大いに気に入りましたが、<青春パート>は定石的でしかも駆け足的で全く駄目でしたね。
バスステーションの場面は良いです。ああいった風景がブラジルにはまだまだあるのでしょう。
2008年04月18日 01:18
こんばんは。この映画は昨年、劇場で観ました。
音楽好きなので、音楽をテーマにした映画は必ず観ることにしているからなんですが・・・
前半はブラジル版「リトル・ダンサー」か「北京ヴァイオリン」かというくらいの、魅力的な作りでしたが、後半は韓流ドラマか?と思わずツッコミを入れたくなるくらいのギャップに当惑した記憶があります。
なのでこの映画は自分のサイトでは紹介していません(笑)
オカピー
2008年04月18日 15:03
RAYさん、こんにちは。

僕も音楽は好きですが、RAYさんはその比ではないようですね。^^
本作に関しては、どなたも前半は魅力的、後半はださださと仰ります。
評価ポイントがこれほどはっきりしている作品も珍しいですよね。^^;

本作の音楽はブラジルと言ってもラテンではなく、ブラジル系のカントリーですよね、多分。

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