映画評「UDON」

☆☆★(5点/10点満点中)
2006年日本映画 監督・本広克行
ネタバレあり

映画版二本をCM寸断版にて観ているもののTVを観ない僕にとってTVシリーズ「踊る大捜査線」のスタッフ云々という宣伝文句など馬耳東風であるが、本広克行には前年の「サマータイムマシン・ブルース」が時間SFの傑作だったので割合良い印象を持っている。しかもあの映画のメンバーと大学教授(佐々木蔵之助)が少し出演するおまけ付き。

アメリカでコメディアンとして成功する夢に挫折したユースケ・サンタマリアが故郷の香川県に戻るが、反対を押し切って渡米した為に製麺業の父親・木場勝己とは折り合いが悪い。
 悪友に誘われて入ったタウン誌の売り上げを延ばす為にコラム形式で香川各地の隠れたうどん名店を紹介したところ、全国的なうどんブームが起ってしまう。

という前半部分では、タウン雑誌に加わる前のサンタマリアと編集部員・小西真奈美が山林をうろうろする序盤の長い一幕など殆ど無駄みたいなもので、些かバランスに難があるが、ただの民家のような店を次々と探訪し、伊丹十三の傑作「タンポポ」の如くクロースアップでうどんが捉えられ薀蓄を聞かされるマニュアルものとしての一連の場面はなかなか興味深い。
 映画としての価値はともかく、全県に900軒も店舗があるという讃岐うどん紹介の効果はあるだろう。

後半もこの調子で進むのかと思えばさにあらず。
 盛者必衰の諺の如くブームの終焉でタウン雑誌を廃刊に追い込まれたサンタマリア君の店を継ぐ決意も後の祭、親父さんはその直前に急死してしまう。姉・鈴木京香は四十九日に店を畳む決心をするが、彼はその前に父親のうどんに近づくべく製麺に試行錯誤、何とか学校に届けられる麺が出来たのを確認すると、再び渡米するのである。

後半は全く別のお話になって二本立て興行のような構成の為に居心地の悪さを覚えるが、それ以前に終盤の展開がどうもよく理解できない。結果的に姉夫婦が製麺業を引き継ぐことになったから良いものの、何だか主人公の行動が無責任なように感じられてしまうのである。
 構成的にも、父親の幻影をあれだけ執拗に出しているのだから、「うどん屋」としてのサクセス・ストーリーで終わったほうがお話としてすっきりする。【朝の連続TV小説】みたいな印象になってしまうのは否めないが。

讃岐名物【うどんタクシー】誕生秘話?

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この記事へのコメント

シュエット
2008年03月17日 23:43
四国うどんツアー、いつものメンバーで2回行ってますね。はじめ朝から晩まで、翌日もうどん?って思ったけど、それがどうして、それぞれほんとに小さな製麺所で、いまだに、ばあちゃんがせっせとうどん打ってるとこもあって、それぞれに味が違うんで、美味しいんですよ。谷川製麺所なんて最高ですよ。食べるところも製麺所の横とか、葱も裏の畑で撮ってきたもので、うどん一筋数十年というばあちゃんをじっくり撮ったドキュメンタリーの方が味があるよなって思って見なかった。逆にこんな映画作って、本当に麺一筋にこつこつやっている人って、内心反感持ったんではないかなって思いもしましたけど、ご覧になってどうでした?今でこそ全国からうどん食べにくるけど、本当に小さな家内製造のとこも多くって、細々とやっていたんだろうなって思います。北海道から四国は遠いけど、P様も一度いかれては?
オカピー
2008年03月18日 03:34
シュエットさん、こちらへもようこそ。

>北海道
は優さんです。
僕はもそっと四国に近い群馬でやんす。^^;

<グルメ>ではないですけど、うどん自体は好きですね。
蕎麦は苦手。
四国には行ったことないので、家族誘って行こうかなあ。
油脂は余り食べられない僕でもうどんなら問題ないし。

>ドキュメンタリー
狙いが違うのだからしゃーないです。^^
こちらは観る方も興味本位なんだから。

>内心反感
職人は偏屈な方も多いので「さもありなん」ですが、
少なくとも出演なさって説明(この部分は台本なしのドキュメンタリー)してくれた職人たちはOKだったんでしょうね。

作品全体としては、どちらか言うとブーム批判みたいな要素が強かったかもです。
2008年03月19日 14:43
妹が去年まで香川に住んでいたので、帰郷のさいのお土産も讃岐うどんと、行った事のない香川のうどんがかなり大好きです。しかし…贔屓目に見ても面白くなかった…。私もあのユースケサンタマリアがスチャラカしたラストには不満です。
2008年03月19日 20:24
 こんばんは!
 さすがはオカピーさん。よく書けましたね、これ。ぼくは去年観ましたが、結局記事にはなりませんでした。心にも頭にも響いてこなかったんですよ。
 ストーリーは破綻しているし、何を伝えたいのかが分からずじまいの宣伝先行作品でした。製作スタッフは「当てる」ひとでしたが、外れる時もあるということでしょうか(笑)
 話は変わりますが、マン・レイの『ひとで』をアップしましたのでお立ち寄りください。ではまた!
オカピー
2008年03月19日 23:43
ぶーすかさん、こんばんは!

家族と一緒に観たのですが、突然始まる“キャプテンうどん”が家族の手前恥ずかしくて「早く終わらないかなあ」と焦っておりました。長くて冷汗が出てきました。^^;

>香川
妹さんが香川にお住みでしたか。
僕は四国には行ったことがないし、親戚にも友人にも四国に縁のある人がいないので、全くピンと来ないですね。
しかし、日本で一番小さな県にうどん屋900軒にはびっくりしますね。群馬には300軒くらいあるだろうか?
オカピー
2008年03月19日 23:55
用心棒さん、こんばんは!

>何を伝えたいのか
前半はうどん談議で、後半は人情もの、それをブーム批判で味付けし、それでは事足りずに変身ヒーローものの要素を取組み、喜劇として作った、という八方美人的な作りだったですね。
そう意味ではいかにもTV局が絡んだ作品です。

>マン・レイ
それはそれは。一昨年だったか東京のフィルムセンターで【前衛映画】特集をやった時に見に行きたいなあと思っていたんですが、諸事情で行けませんでした。
後でお伺い致します。
シュエット
2008年03月20日 20:56
私、P様も北海道とばかり思ってました。
北海道の方が多いなって思ってました。失礼しました。群馬ですか。
群馬県って何があるのかな。木枯らし紋次郎の生れに近い?
オカピー
2008年03月21日 01:53
シュエットさん、書き込み有難うござります(笑)。

群馬なんです!

>群馬県って何があるのかな。
うわーん。TT
関西の方にとって群馬はそんなもんなんでしょうね。
群馬は名山に囲まれ、温泉がいっぱ~いあるところです。
日本で一番人気のある草津温泉は群馬の北部ですぞ。
四万も万座もね。

それから総理大臣が戦後4人出た県は群馬だけ。^^;
そのうち二人は高校の先輩。
家電店売上NO.1のヤマダ電機の本社があります。
食品関連ではこんにゃくとねぎが有名かな。

>紋次郎
は南東部。
私の住んでいるのは南西で、浅間山に近いほう。軽井沢へはひとっ走り?
「カルメン故郷に帰る」のムードです。
2008年05月22日 22:26
唐突に失礼します。コメント入れようと思って、オカピーさんの記事リストを遡って、自分も観た映画を探していたら。。2か月分も遡って『UDON』にたどり着いてしまいました。

私も、この映画観てはいるものの、ごった煮みたいで考えがまとまらず。記事にできませんでした。猛烈にうどんが食べたくなって観賞後なんどかうどん屋に足を運んだので、一応の影響力はあるみたいですけど。

何かの記事で、脚本氏が本広監督のやりたいことをリストアップして、とにかく盛り込もうとしたというような話を読んだ記憶が。。確か、キャプテンUDONはその中でもかなり上位にランクされてたらしいです・笑。
オカピー
2008年05月23日 03:10
FROSTさん、こんばんは!

>記事にできませんでした。
当方は記事というより批評なので、書けないなりにUPしちゃいますです。それも良し悪しですけどね。

>一応の影響力
それは間違いなく影響力です(笑)。
尤も、ラーメンのCMを見るだけでもラーメンを食べたくなりますので、それじゃ映画としては寂しいかな。

>キャプテンUDON
この作品は酷評が目立ちますが、何故かこのキャラクターは結構評判が良かったです。僕は「何だかなあ」でしたけど(笑)。

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