映画評「戦艦バウンティ号の叛乱(南海征服)」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1935年アメリカ映画 監督フランク・ロイド
ネタバレあり

実話を基に書かれたチャールズ・ノードホフとジェームズ・N・ホールの小説「バウンティ号の反乱」の映画化で、アカデミー作品賞受賞作。
 戦前本邦では反乱はけしからぬとズタズタにカットされ「南海征服」のタイトルで公開された。62年と84年にリメイクされ、どちらも既に観ているが、出来栄えで本作に及ばない。

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1787年にタヒチに向けたポーツマスを出港した英国軍艦バウンティ号の艦長ブライ(チャールズ・ロートン)は冷酷無比、碌に食わせもせずに乗組員を酷使するに留まらず、命令を実行しただけなのに鞭を食らわせたり、ちょっとしたミスでも拷問同様に痛めつける。
 タヒチでパンの木を大量に積み込んで引き返した後、虐待に耐えきれなくなった乗組員たちが一等航海士クリスチャン(クラーク・ゲーブル)の指導の下に反乱を起こし、艦長と腹心たちをボートに乗せて追放すると、タヒチに引き返し、島の娘たちと結ばれる。
 ところが、ブライは執念でティモール島にたどり着いて英国に戻り、91年再びタヒチに現れる。

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船上・艦上の反乱と言えば「戦艦ポチョムキン」が有名だが、こちらも相当凄まじい。これでもかとばかり繰り出される理不尽な暴力の数々に思わず義憤にかられるが、酋長や島の女たちが絡んでだらだらするタヒチ以降は全般的に間延びして面白味が薄い。

具体的には(乗組員の反乱を描いた映画と考えた場合)、ブライが漂流した挙句にパンドラ号の艦長として舞い戻り、復讐の為に一行を探す場面を適切に端折れば、ぐっとすっきりしたのではないか。
 尤もそれを大幅に加えたことにより、ブライが船乗りとしては優秀で、その執念をもう少し違う面に向ければ立派な人物として歴史に名を残しただろう、という印象を与えてはいる。つまり、見方を逆にすれば、描写の仕方次第で、ブライの冷酷ぶりを描く前半、彼の執念を描く後半という具合にもっとバランスの取れた作品になったはずで、寧ろそのほうが内容の重要性も増しただろう。

ブライを演じるロートンは僕が観た少なからぬ彼の作品の中でも抜群の名演で、事実上彼を見る映画と言いたくなるほど。髭のないゲーブルも悪くない。

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