映画評「氷の微笑2」

☆☆★(5点/10点満点中)
2006年アメリカ映画 監督マイケル・ケイトン=ジョーンズ
ネタバレあり

映画としての出来栄えはともかく、エロ気で1992年の映画界を席巻した「氷の微笑」の14年ぶりの続編。作品賞を始め不名誉なラジー賞の主要部門を受賞しているが、そうひどいものではない。尤も本当にひどいものにラジー賞は注目しない。ワーストに選ばれるものが真にワーストであることが殆どないのはよく知られた事実である。

ミステリー作家シャロン・ストーンがエロ場面を繰り広げながら猛スピードで飛ばしている車が川に飛び込む。彼女は車から抜け出すが、意識朦朧としていた同乗のサッカー選手はそのまま死ぬ。

というのがプロローグで、前作同様彼女の作品どおりに事件が起こるというのがお話の妙になっている。
 今回は刑事ではなく、容疑者になった時彼女の精神鑑定をした精神科医デーヴィッド・モリシーが【まな板の上の鯉】になる。モリシーの過去を探っていた記者が絞殺死体で発見され、続いて彼と深い仲になっていた前妻インディラ・ヴァーマが殺されるのである。

画像

主人公の立場から判断すれば最も怪しいのは女流作家であるが、彼女の言を信ずるなら、証拠捏造を繰り返している刑事デーヴィッド・シューリスも怪しく見えてくる。
 ところが、これも一面に過ぎないということを、作家自身がラスト・シーンで述べている。つまり、精神科医が女流作家の作品通りに事件が起こるのを逆手に取って自らの過去を抹殺しようとした、と解釈もでき、いずれにせよ映画は何が真相なのか全く示していないのである。

その事実をどう受け取るかによっては評価は分かれる。観客を右往左往させた挙句真相は藪の中という結論だから馬鹿らしいと言えば馬鹿らしい。そのプロセスを楽しもうとすれば退屈なお話どころが種々のアイデアが注ぎ込まれていると言える。
 誰の視点で眺めるかによってヒロインも違う風に見える。スクリーンから直接に受ける印象では彼女はとんでもなく頭が良い上に怖い女だが、彼女の主張が正しいなら単に天才的な推理力を持った女に過ぎない。

問題なのは前妻の殺人現場と同業のシャーロット・ランプリングを救おうと主人公が駆けつける終盤の扱いで、ここの客観描写が余りにもインチキ臭いので、【真相は藪の中】が奇麗に成立しているようには見えないのである。

精神科医の名前がマイケル・グラス(Michael Glass)なのは前作で刑事に扮したマイケル・ダグラス(Michael Douglas)に絡めた言葉遊びであろうか。

シャロン・ストーン本人の知能指数は154。僕より少し(大分?)高い。

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この記事へのコメント

豆酢
2007年10月11日 18:37
たぶん、おそらく、きっと、どなたもコメントしないだろうと思い(笑)、こちらにお邪魔します。
えーと、以前バトン関係の記事にコメントをいただいていました。ありがとうございます。しかし、直後にコメント欄を閉じてしまいましたので、レスを書いておりません…。プロフェッサーのコメにどうお答えしていいか、私の縮んだ脳細胞ではわからなかったもので<(_ _)>。ずっと失礼をしたままで、大変申し訳ありませんでした。

で、この作品ですが。
シューリス見たさに鑑賞しましたが、途中で寝てしまいました(^^ゞ。プロフェッサーのレビューを拝見して、はあ、そうだったのかと納得している次第(苦笑)。シャロンさんは頭が大変よろしいようですが、よろしすぎるのでしょうか、私のような凡人にはとても理解不能な作品をお作りになられます、はい。
オカピー
2007年10月11日 22:04
豆酢さん、こんばんは。

その節は大変失礼致しました。(_ _)
レスを付けられないようなコメントはやはりすべきではないと猛反省の日々でした。
その後コメント欄を閉じられたので、私が直接の原因なのかと悩みました。
しかし、こうしていらっしゃったので、怒ってはいないことを確認でき、ホッと一息です。
お気遣い戴き、有難うございました。

さて、本作。相当いい加減な作りですが、余り退屈はしなかったですよ。
期待した(?)エロは大したことはなかったですけどね。(爆)
2007年10月20日 01:03
TBありがとう。
ラジー賞が「トンデモ大賞」と同じように、ある種の愛情の裏返しのようなところもありますからね。

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  • 「氷の微笑2」

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  • 氷の微笑2

    Excerpt: 座席がゆったりしているので、足を組替えながらの鑑賞。 Weblog: ネタバレ映画館 racked: 2007-10-12 01:02
  • mini review 07071「氷の微笑2」★★★★★☆☆☆☆☆

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  • <氷の微笑2> 

    Excerpt: 2006年 アメリカ 114分 原題 Basic Instinct 2 監督 マイケル・ケイトン=ジョーンズ 脚本 レオラ・バリッシュ  ヘンリー・ビーン 撮影 ギュラ・パドス 音楽 ジョン.. Weblog: 楽蜻庵別館 racked: 2007-11-01 01:18
  • 氷の微笑2

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