映画評「三つ首塔」

☆★(3点/10点満点中)
1956年日本映画 監督・小林恒夫、小沢茂弘
ネタバレあり

片岡千恵蔵の金田一耕助シリーズ第6作にして最終作。

移民して大富豪になった老人が死亡、上杉という大学教授の養女となっている音禰(中原ひとみ)が、高頭俊作という見知らぬ男と結婚することを条件に300万ドルの遺産を相続できると告げられる。その直後一族が集まる式場で踊りを披露していた姻戚関係にある娘が毒死、俊作と思われる青年も毒入りチョコを食べて死ぬ。
 音禰が正体不明のやくざ風の男(南原伸二)に誘拐された後、遺産相続権のあるクラブのママが贈られてきたウィスキーを呑んで、やはり毒死する。

片岡耕介シリーズはミステリー仕立てのアクション映画の趣き、原作や市川シリーズと比べると物足りないどころか珍無類で噴飯すること甚だ多し。

まず映画としてインチキが多すぎる。本作でもある主要人物の描写は観客をまどわすインチキ(変装という意味ではない)であり、こうした映像上のインチキは許されてはならない。何故なら第三者の視点による映像は事実と見なされるからで、そこにインチキがあっては推理もへちまもない。そんな状態で作られたなら、鮮やかなどんでん返しも驚きの真犯人も意味がないのである。

画像

「三本指の男」以来静子(今回は高千穂ひづる)を助手に付けて探偵・金田一が余り活躍しないのが物足りず、多羅尾伴内とダブる役柄で変幻自在で神出鬼没、突然現れてあっと言う間に解決してしまうので「どうなってんの」という感じが益々強い。ギャング映画もどきの場面もあって、ミステリーとしての面白さは限りなくゼロに近く、探偵ムードだけなら「三本指の男」のほうが大分良い。

このシリーズの傾向だが、無意味に時計を映すショットを入れるのも困る。

唯一感心したのは、片岡耕介の運転する自動車が列車と交錯するギリギリ加減。特殊撮影ではなさそうなので撮影は大変だっただろう。しかし、その直前のカットバックで、列車は薄暮を走り、車は夜を走っているという感じを与えるのはまずい。

以前鑑賞した「獄門島(総集編)」は今回録画機の不調で延期、7月の放映時に観る予定。似たり寄ったりの出来栄えだが。

最後に「この桜吹雪が目に入らぬか」といった趣になる片岡耕介。

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この記事へのコメント

2007年06月22日 18:43
こんばんは。

かなり厳しい評価ですね。ミステリーという感じでは全くなさそうというか、もう本編として、成り立っていないようですね。

ここまでくるとやはり一度はみてみたいかも・・・。

>最後に「この桜吹雪が目に入らぬか」といった趣になる片岡耕介。

この最後のひとことが、妙にたまりません(笑)。
オカピー
2007年06月23日 03:37
イエローストーンさん

少なくとも金田一耕助ではなく、明智小五郎ですよ、これは。
途中まではともかく、終盤は相当珍妙です。上の写真は誰でありましょうか(笑)。

金田一ものと思わなくても全く駄目です。ましてミステリーと思えば、インチキはまずいです。しかし、本作に限らずミステリー、スリラーには登場人物の描写に観客をだますインチキが多いですね。トリックなら良いんですけど。

>桜吹雪
実際、そんな感じですもの(笑)。
2007年07月06日 07:30
>桜吹雪
いいですねー。インチキトリック!?も強引に収めてしまうには桜吹雪しかないでしょう^^
この頃の日本映画は差が激しいですね。あ、今もかも(笑)
オカピー
2007年07月07日 02:36
映画の世界マスターさん、こんばんは。

はい、全くその通り。かつては、秀作と駄作の差は今どころの騒ぎではないです。今は上が頭打ちで、下は底上げがされている印象が一般的にはします。

しかし、昔の駄作には愛着があるんです。多い星は進呈できなくても大変楽しめたわけです。今の作品は逆。星の数ほどは楽しめない作品が多い。困ったことですね。

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