映画評「魚が出てきた日」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1967年ギリシャ=イギリス映画 監督マイケル・カコヤニス
ネタバレあり

懐かしい核兵器風刺喜劇。

原爆と放射能物質を積んだ飛行機が不具合を発生、パイロット二人トム・コートニーとコリン・ブレイクリーが原爆と卵型物質を入れたカプセルを捨てた後着水してギリシャの小島に上陸し、当局に秘密裏に連絡しようとパンツ一丁で島を歩き回り、一方、特殊加工されて通常の方法では絶対開かないカプセルを地元の山羊飼い夫婦が拾って何とか開けようとする。
 その間に軍部は兵士たちを観光客に偽装して捜索を続けるが、工事を装って島民に作業させた時に古代の塑像が出てきたことが話題になり観光客がどっと押し寄せた為秘密の作戦をなかなか遂行しにくくなっていく。

という三組が夫々の行動に懸命になるドタバタがずっと続くのだが、ギリシャ悲劇を映画化してきた監督として知られるマイケル・カコヤニスは些か畑違いで、ギリシャ古典喜劇の味わいを隠し味的に忍ばせたつもりか展開がのんびりしすぎ、脚本も兼ねた本人の思惑ほど楽しめるとは言いにくい。
 が、考古学者の助手としてやってきたキャンディス・バーゲンの保有していたどんな金属も溶かす酸が山羊飼いに盗まれたことからサスペンスが一気に高まり、これ以降は観光客の馬鹿げた騒ぎの中ひっそりとサスペンスと恐怖が進行していくのが大いに宜しい。

人々が踊りまくるショットが切り替わる度にロングになっていく幕切れの恐怖醸成は圧巻。大真面目に作られながら笑ってしまう日本製SF映画「吸血鬼ゴケミドロ」(68年8月公開)の幕切れは68年6月日本公開の本作から拝借したのではないかと思う。

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この記事へのコメント

十瑠
2007年03月10日 17:41
これは、これは・・・とても見たい映画なんです。有料チャンネルで放送されたんですか?
吹き替え版で大昔に見たままで、ミキス・テオドラキスの音楽も独特の味があって忘れられない映画です。とぼけているのに背筋がゾクッとする。「アメリカ上陸作戦」とかに通じる面白さですね。
レンタル屋さんでも見かけないので、NHKさんにお願いしたいです。
オカピー
2007年03月11日 03:23
十瑠さん、こんばんは。

そうです。結構貴重品が最近放映されていますよ。

本文で書いたとおり、酸が盗まれてからはゾクゾクしてしまいます。カコヤニスののんびりとしたタッチが却って恐怖を醸成したような気もします。
テオドラキスは「Z」「告白」等コスタ・ガブラスの作品も良かったですよね。特に「Z」は好きだったなあ。
十瑠
2015年03月26日 07:52
いやぁ、もう8年前ですか。
コメントしたのもすっかり忘れてましたが、念のため検索して今記事発見であります。
カコヤニスが自国民を皮肉っているのが今見ると結構辛辣だなぁと感じましたね。
オカピー
2015年03月26日 14:35
十瑠さん、こんにちは。

最近は全然ダメですが、8年前WOWOWさんはこんな貴重な映画も放映していたんですねえ。
NHK-BSも中級西部劇を除くと、本当にひどい映画編成。短いスパンでの再放映も多すぎます。10年くらい前までNHK-BSは本当に素晴らしかったのですが。

>自国民
日本は、表現の自由が保障されていますが、自主規制してしまう為、メジャー映画でこういう映画は作られませんね。
面白かったです。

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  • 魚が出てきた日

    Excerpt: (1967/マイケル・カコヤニス監督・脚本・製作/サム・ワナメイカー、トム・コートネイ、コリン・ブレイクリー、キャンディス・バーゲン、イアン・オギルビー、ディミトリス・ニコライディス/110分) Weblog: テアトル十瑠 racked: 2015-03-25 22:49