映画評「赤い橋の下のぬるい水」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2001年日本映画 監督・今村昌平
ネタバレあり

2002年映画鑑賞メモより。簡素ですみません。

前作「うなぎ」は良くも悪しくも今村昌平の油ぎった感触、ねちっこさが控えめだった。そのおかげで大変気に入ったとも言えるのだが、同じ主演コンビを擁した本作は本来のねちっこさが蘇り、見事なまでに生と性を謳いあげている。

原作は辺見庸の同名小説。

会社を首になり妻とも別居状態の役所広司が、死んだ老ホームレスの生前の言葉に従って、彼の宝物を回収しに能登半島の一軒家を訪れる。
 妙齢女性・清水美砂が頭のボケた老婆・倍賞美津子と暮らしている。彼女は真の娘ではないが、菓子屋時代からの付き合いで一緒に住んでいると言い、そんな話をしながら彼女はセックスを半強制する。
 彼女は自分の“ぬるい水”(ご推察されたし)を恥じているが、それは並大抵ではない。“ぬるい水”は2階から階下へさらに川にまで流れていく。
 彼は彼女に惹かれ、離婚してこの町に住み着くことを決意、漁師になる。

そして気付くのだ。老婆もかつて彼女と同じ宿痾(しゅくあ)を持ち合わせて、それこそ死んだ老人の宝物だったのだ、と。

今村は実年齢以上に老け込んでいるが、その外見に反して作る作品のパワーはもの凄い。猥雑と言える部分もあるが、瑞々しさには脱帽だ。

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この記事へのコメント

優一郎
2007年02月19日 16:24
本作の評価、嬉しく思います。
プロフェッサーがおっしゃられている通り、枯れた味わいの「うなぎ」も良かったですが、本作のテイストの方が、ずっと今平らしい艶があります。一般にはあまり評価されていないようですが^^;

今平にはもう少しだけ生きてもらって、老境のエロをもう一本。
さらに、望み過ぎでも、往年の重喜劇をもう一本。
長編をあと二本は観たかったなあ~と、思ってしまいます。
オカピー
2007年02月20日 02:34
優一郎さん、こんばんは。
今年は今村昌平鑑賞の年にしようか、ベルイマンにしようか、いや両方か、厳しい選択に迫られているので、とりあえず昔書いた杵柄でななくて映画メモから持ってくるというズルをしました。文章は当然手抜きですが、採点は今でも変わりません。

viva jijiさんではありませんが、若い監督の作る小手先のへなちょこ映画を観ていると、かかるパワフルな映画はちょっとやそっとで作れないぞと思えて、嫌でも高評価をしてしまいます。
彼の後を継ぐようなパワーを持つ監督が日本ではなく韓国から出たのは、映画先進国・日本の映画ファンとしては残念でもありますが、一人でも出てきたことを素直に喜ぶべきでしょう。

ま、若い連中の評価はとりあえず気にしまへん。ベテランの評価も悪いですか? 姐さんはどう思っているのかな。
viva jiji
2007年03月23日 08:15
>姐さんはどう思っているのかな。

と、プロフェッサーがおっしゃられるので再々見。(笑)
ベースの大好きな辺見庸のホン(「ゆで卵」という短編も
加味されているみたい)も再々読。

今村さんのハチャメチャ悲喜劇のパワフルさが好みの私には
中途半端で物足りないシャシンでした。
かえって枯れた味わいの中にヌルリとした色気のあった
「うなぎ」のほうを私は買います。

今村さんはオトコとオンナのグチャグチャも庶民哀歌も
突き抜けた哀しみ笑いも、とにかく“大きく、大きく”
シャシンの撮れた稀有な映画屋さんなところが
私には魅力でした。

そして、そして、

辺見庸の描くオンナは
決して、断じて、

あんなピノキオ顔の清水美砂ではないのです!!
オカピー
2007年03月23日 17:26
viva jijiさん

ちょっと意外?
「うなぎ」はねちっこくないので姐さんには物足りなかったのではないかなと想像しておりました。

本文では解りにくいですが、元来今村監督のねちっこさや猥雑さに苦手なところもあったので、「うなぎ」は大いに気に入った作品。
初見だけの印象で言えば「にっぽん昆虫記」がベスト、「うなぎ」が二番です。「赤い殺意」「復讐するは我にあり」が続く、といったところ。
先日NHKがマーティン・スコセッシを進行係的に今村監督の特集をやっていたので、何本かちらほら観たいなあ、と思っております。

と、本作の話はどこかへ行ってしまいました(笑)。

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