映画評「フリスコ・キッド」

☆☆★(5点/10点満点中)
1979年アメリカ映画 監督ロバート・オルドリッチ
ネタバレあり

線の太いアクション映画が得意なロバート・オルドリッチ監督のコメディ・タッチの西部劇だが、やはり畑違いの感が強い。日本未公開に終ったのも理解できる。

19世紀半ばのポーランド、成績の振るわないラビ(ユダヤ教尊師)、ジーン・ワイルダーがアメリカ西部はサンフランシスコのユダヤ人部落に婿を兼ねて派遣されることになるが、東部に到着早々三人組の追い剥ぎに出会って裸一貫で投げ出される。
 鉄道工事などに従事して生活費を稼いだ後強盗ハリスン・フォードと知り合って一緒に旅を続けるが、強盗として追われた挙句にインディアンに捕縛されピンチを迎え、無言を続ける変な神父たちと過ごし、漸く着いたシスコで追い剥ぎと再会してフォードの手助けで金を奪い返すものの、そうすんなりとは終らない。

眼目はずっこけラビと人の良い強盗の珍道中だが、脚本の設計が余り宜しくない。
 阿呆系喜劇のように始まり、二人が知り合ってドタバタとなる辺りまでは良いが、そのうち人情喜劇となり、さらに宗教風刺的な色合いも帯び出し、方向性がはっきりしない。ワイルダーがユダヤ教なので土曜日には馬を乗らずピンチを迎えるといったお笑いに徹した方が一貫性が出て面白くなったかもしれぬ。
 次々と難儀がふりかかり協力して乗り越えて行く場面の数々は楽しいが、オルドリッチの線の太さが邪魔をして内容にふさわしい軽さが伴なわないのが勿体ない。

序盤のうちフォードが戒律に縛られて邪魔にしかならないワイルダーと縁を切らなかった理由も解りかねる。彼くらいの腕前なら一人のほうがサバイバル力が発揮できるだろうにね。

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この記事へのコメント

優一郎
2007年02月19日 16:22
こんにちは^^
傑作「ジェーンに何が起こったか?」ではなく、敢えてこちらに書き込みを(笑)
実は本作は初見でした。前から観たいと思っていた一本。
「ヴェラクルス」や「ガン・ファイター」のオルドリッチが撮ったとは思えぬ出来で、プロフェッサーの評価は、ほぼ私も同感です。
ただし、オルドリッチのフィルモ・グラフィーの中では、かなり異色で、いわば珍品中の珍品。そう考えると、なんだか妙に可愛げがあって、骨太コメディもまた良いかと(笑)
シナトラ主演の「テキサスの四人」などよりは、こちらがだいぶ好きで、私は★★★の不当な評価です^^;

ちなみに、間抜けなラビをフリスコ・キッドが見捨てなかったのは、無意識下に友情に飢えていたからかと。人を騙し続け、友情など知らぬキッドに「人間らしい魔がさした」 と観るのが楽しいと思います。
実際のところ・・・身もフタもなく言えば、見捨てると物語が成立しなくなるからですが(笑)
オカピー
2007年02月20日 02:20
優一郎さん、こんばんは。
「特攻大作戦」「ロンゲスト・ヤード」などにやっと笑わせる作品は幾つかありますが、ジーン・ワイルダーのような完全なる喜劇人の主演作を撮るとは意外でした。しかし、やはり重いなあ。

ハリスン・フォード扮するフリスコ・キッドがお人好しというのは展開するに連れて解りますし、ある程度旅の苦労を共にした後なら離れがたくなるのが人情ですが、元来は何の係累でもなかったわけですから、必然となる取っ掛かりが欲しかったです。インディ・ジョーンズにかこつければ、宝の地図をラビが持っているとか(笑)。

「人間らしい魔がさした」というのは良い表現ですね。後で使わせて戴きます(笑)。

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