映画評「もだえ」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1944年スウェーデン映画 監督アルフ・シェーベルイ
ネタバレあり

イングマル・ベルイマン特集①

1982年映画鑑賞メモより。
映画評を書き始めて日も浅い頃の、鑑賞力も大してなく文章も今以上に拙いものですが、参考的な意味合いを込めて。


イングマル・ベルイマンが脚本を担当した44年作だが、古さを感じさせないのはさすが欧州の映画である。当時のアメリカ映画が良い意味にしろ悪い意味にしろ古さを感じさせることが多いのとは対照的である。

表面的には青春ドラマと言うべきもので、スウェーデンの厳格な公立学校が舞台である。

そこにカリギュラ呼ばれる残忍な蛇みたいな・・・端的に言えばサディスティックな・・・教師(スティーグ・イェレル)がいて、生徒たちを怯えさせているのだが、主人公ヤンニ・エリック(アルフ・シェリン)は特にひどい目に遭っている。泥酔していたところを助けたタバコ屋の娘ベルタ(マイ・ゼッタリング)を愛するようになった彼は、彼女が何かに怯えていることに気付くが、その正体が掴めない。

我々観客は彼女の話は序盤のシーンから、彼女がカリギュラの所有物になっているという凡その見当がつくわけだが、主人公は久しぶりに訪れた部屋でアル中で死んだベルタと共にカリギュラの姿を見出し、漸く理解に至る。カリギュラは自分の罪を彼に被せて退学させ、自分はちゃっかり卒業式に出席する。

極端に神経の細かいカリギュラは誰かを傷つけずには生きられないようで、一方のヤンニ・エリックは一度は落胆して絶望的になるものの希望の光を見出して立ち直る。
 この二人の相違がラスト・シーンに鮮やかに描き出されるのが意味深長である。というのも、本作が作られたのは1944年という戦中であり、カリギュラという名が示すのは圧政である。つまり、このラストは圧政(ナチス)の敗北とその圧力に苦しんだ中立国スウェーデンの復興という対照を象徴的に描いたと理解できるのである。

ベルイマン独自の世界は見られないが、「令嬢ジュリー」などの名人アルフ・シェーベルイの堅固な演出を得て、佳作と言える出来栄えになっている。

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