映画評「リトルショップ・オブ・ホラーズ」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1986年アメリカ映画 監督フランク・オズ
ネタバレあり

1960年にロジャー・コーマンが作ったB級SFホラーの舞台ミュージカル版をフランク・オズが映像化した作品。

20年前に観てご機嫌になった夢をもう一度と再鑑賞した次第だが、今回も楽しめた。

花屋の冴えない店員リック・モラニスが、宇宙から来た怪物とも知らずに植物を育て、愛する女性店員オードリー(エレン・グリーン)の名前からオードリーⅡと名付けるが、彼の血を吸って急速に成長して人肉を要求、大変な大騒ぎになる。

誠に馬鹿馬鹿しい物語だし、スティーヴ・マーティン扮するサディスティックな歯医者の傍流的な大騒ぎも珍無類で必ずしも趣味が良いとは言えないが、まずアラン・メンケンの作曲したロック調R&B調のナンバーが断然優秀で大量に☆を稼ぐ。
 ロック・オペラの楽曲は耳馴染みが良い必要があるが、すぐにでも歌えそうな憶えやすさと乗りの良さがゴキゲン。歌い方にミュージカルに対する諧謔があり、ニヤッとしたくなるのも良い。

それと並んで素晴らしいのが不良女子高校生三人組が古代ギリシャ劇のコロスに相当する狂言回しとして大活躍する構成の妙で、映画全編に類稀なる躍動感を与え、感動的でさえある。

そして、殆ど新人同様だったオズの演出も実にたのもしい。コロスから他のキャラクターへと引き継ぐカメラワークが実にダイナミックで、舞台版では決して味わえないスケール感がある。これぞ映画という醍醐味を味わわせてくれた。

「後で調べてみたら、フランク・オズは小津安二郎の隠し子だった」なんてことは絶対ありません。

この記事へのコメント

かよちーの
2007年02月07日 22:36
オカピーさん、こんばんは。
作品も面白かったですが、個人的にはスティーブ・マーチンの黒髪がウケました。
オカピー
2007年02月08日 03:32
かよちーのさん

実は80年代以降作られたミュージカルで一番良いと思っているのがこれ。「ムーラン・ルージュ」「シカゴ」「オペラ座の怪人」よりも、ね。
「コーラス・ライン」はちょっと違う雰囲気ですが、やはり本作のコロスとカメラワークは良いなあ。
豆酢
2007年02月08日 15:19
ああ、これ大好きです、プロフェッサー!!
そうそう、ドタバタはご愛嬌、本作で披露された歌の数々はホントにご機嫌ですよね!そうですね、「ムーラン・ルージュ」やら、ましてや「シカゴ」(大嫌いなんです、これ。脚本はビル・コンドンなんですがっ!)なんぞより数倍おもしろかったな。

>歌い方にミュージカルに対する諧謔があり
ちょっと思いだすのが、ディズニー傘下に入った頃のピクサー作品です。「ファインディング・ニモ」で登場するキャラが、なんの脈絡もなく突然歌いだそうとするんですよ。そのたびに他のキャラに『ヤメロ』って止められるんですが(笑)、それがディズニーアニメの伝統(ミュージカル仕立て)を揶揄した楽屋落ちなんですよね。なにかの拍子にこんなちょっとした笑いを発見すると、またおもしろいものです。

フランク・オズ監督が小津監督の隠し子…一瞬「えええっ!」とのけぞった私をお許しください(笑)。彼の「マペット・ショー」と、「ダーク・クリスタル」大好きです。
オカピー
2007年02月09日 03:20
豆酢さん、いらっしゃい。
基本的にミュージカルは好きなので何でも良いと言えば語弊がありますが、それはともかく、馬鹿なお話のマスキング効果(そんな馬鹿な)で真価が捉えていない人が多いんじゃないかなあ。

そうそう、ディズニー・アニメは未だにセミ・ミュージカルですものねえ。「あれはやめろっ!」とディズニー関係者に言っておりません(笑)が、ディズニーは「白雪姫」以来旧態依然。評判だった「美女と野獣」も映画的には何だったですよ。

「ダーク・クリスタル」は良かったですね。フランク・オズは言わば出身が人形遣いですよね。それにしてこの演出は大したもんだなあ。

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