映画評「tokyo tower (東京タワー)」

☆☆★(5点/10点満点中)
2004年日本映画 監督・源孝志
ネタバレあり

先日観た群像劇「大停電の夜に」の丁寧な作りが好感触だったので、源孝志がその前に演出した本作も観ることにした。原作は江國香織の小説。

セレクトショップを経営している四十代の(今や死語となっているが)DINKS妻・黒木瞳が知人の21歳になる息子・岡田准一と肉体関係を持って三年、その知人・余貴美子がその事実に気付いたことから夫・岸谷五朗にもばれ関係が破綻するが、離婚して全てを整理すると、若者をパリに訪れる。

というお話が、彼の友人・松本潤がやはり一回り以上離れた人妻・寺島しのぶと懇ろになってやがて破綻する模様とクロスしながら進行するが、何だかんだ言ってもメロドラマである。

僕はよく出来たメロドラマは好きだが、途中まで口論や葛藤を繰り返す<面倒くさいドラマ>風に展開したのが突然古典的になっても気分良く観られるはずもなく、最近の世相の軽佻浮薄な部分ばかりが強調されているようで不愉快な後味が残る。
 フランスの少年が人妻と深い仲になる心理と模様を叙情的にかつ緻密に描いたクロード・オータン=ララの「肉体の悪魔」の時代は遠くになりにけり、だ。

東京タワーはエッフェル塔と繋がる部分のみ効果的に使われている。

パリの場面でお懐かしいミレーヌ・ドモンジョが登場、変な服を着ていたのでよく分らないが、かなり太目になられた模様。「お嬢さん、お手やわらかに!」の時代も遠くになりにけり。

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この記事へのコメント

Lisa
2007年01月03日 23:05
オカピーさん
この映画昨年TVで観ましたが、東京タワーと何の関係があるのかよくわからなかったです。岡田準一が失恋して飛び降りるのかと思ってたら、いきなりパリで思いがけないハッピーエンド。ちょっと嘘っぽいです。
ミレーヌ・ドモンジョ出ていましたか。私気がつかなかった。クラウデア・カルディナーレもこないだのルキノ・ビスコンティのドキュメンタリーの中でちょっと見かけましたが、当然だけどやはり中年になっていました。あまり変ってないのはソフィア・ローレンかな?
viva jiji
2007年01月04日 07:44
この手のメロドラマの必須条件は、道ならぬ恋の
「切なさ」をいかに観客に浸みわたらせるか。
これしか、ありません。
若いほうは青さで許されるけれど
女のほうは、どうもねえ~。

あくまでも寡黙でありながら
内に秘めた情熱を体現するシニョレとは、
プロフェッサー、比較対象外ですわよ~。(笑)

こういうのは、切ない、という範疇ではなく
「刹那」または「拙な」とでも言おうかしら。

恋物語も、最近は・・・安いのよ。(笑)

オカピー
2007年01月04日 18:04
Lisaさん、こんばんは。
東京タワーが見える場所に住んでいるだけで「東京タワー」では題名に偽りありですよね。

>岡田準一が失恋して飛び降りるのかと思ってたら
所謂ジャンプ・ショットならぬジャンプ・シーンなのですが、省略の効果が全く効いてこない、騙しの意味しかなさそうです。
もう少しおいしいご馳走なのかと思って観ましたが、冷や飯でした(笑)。

>ドモンジョ
岡田君が暮している家の女主人です。彼女のように早めに消えた女優はそのまま静かにしていてほしいであります。
CCも老けましたね。仰るように現役でばりばりやっているせいもあり、ソフィア・ローレンは美しく年をとっている感じです。若い時ならCCのほうが好きですが、今なら断然彼女ですね。
オカピー
2007年01月04日 18:14
viva jijiさん

比較しちゃ駄目と仰られても、それが私の方法論ですから(笑)。
と言いますか、他に書くことがありませんでした。

切ない、刹那、拙な・・・上手いですねえ。皆様、最後は「つたな」ではないですよ~(笑)。

我々の時代の長髪はただ長いだけの、おシャレとは無縁の長髪でしたが、最近のは金をかけた長髪。スポーツをしている大学生の殆どが眉を剃っている。不自然だなあ。
わが家のは一応自然児なので、良かった。
Lisa
2007年01月05日 15:06
>クロード・オータン=ララの「肉体の悪魔」の時代は遠くになりにけり、だ。

ジェラール・フィリップとミシュリーヌ・プレールでしたよね?
観たのはTVでしたけど、震えるくらい良かったです。
「肉体の冠」と題名が紛らわしいですね。
オカピー
2007年01月05日 15:39
Lisaさん、こんにちは。

>肉体の悪魔
そうですね。シモーヌ・シニョレとミシェリーヌ・プレールは同時代の大スター。方や太りに太って別人になってしまいましたが、ミシェリーヌは近年まであのスタイルを保っていて、オールド・ファンをじ~んとさせました。と言ってもさすがに私も彼女らと同時代の人間ではありませんが(笑)。
レイモン・ラディゲの原作も読みました。ラディゲは二十そこそこで夭逝したフランスの天才です。

>肉体の冠
こちらも恋愛映画の名作ですね。正確にはよく憶えていませんが、ジャック・ベッケルの写実的な描写が良かった映画文学風だった記憶があります。

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