映画評「男はつらいよ 拝啓車寅次郎様」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1994年日本映画 監督・山田洋次
ネタバレあり

「男はつらいよ」シリーズは第1作を除いてテーマ【映画 あ行】から省きましたので、テーマ【山田洋次】にて検索をお願い致します。

シリーズ第47作。残すところ後一つとなりました。

満男が靴会社に就職して半年経った頃一度は柴又に舞い戻った寅さんが例によって喧嘩して滋賀県の長浜曳山祭りに商売に出、撮影機材を抱えた鎌倉の主婦・典子(かたせ梨乃)と出会う。
 一方満男も大学の先輩(山田雅人)に呼ばれて同地を訪れ、先輩の妹で些か気の強い菜穂(牧瀬里穂)と知り合い、彼女と共に祭りの見世物である子供歌舞伎を観ている時、典子の怪我で思わぬ長逗留をすることになった寅さんと再会する。

序盤の鉛筆を売り方を講義する寅さんのアリアにプロの技術を見て惚れ惚れし、怒りながら町を紹介する菜穂と戸惑う満男を捉えた中盤の場面には映画的な面白味が横溢。特にふてくされる満男を彼女が近道して追いかけ先回りする場面は的確なカット割りが必要なだけに映画監督の腕の見せどころ。さすがに上手いです。

今回はどちらかと言えば起伏を低く設定し淡々と進めている印象があるが、余り例のない展開が終盤に待っている。本作のハイライトである。
 まず典子がくるま屋を訪れる。訪問理由を寅さんに対するお礼と述べるが、それだけであろうか。恐らく寅さんが彼女とは対照的と言っていたさくらに・・・自分が幸福であるか確認する為に・・・会いに来たのであろう。従って寅さんに会えなくても残念がらず、挨拶も一通りである。 今度は満男の運転で寅さんが彼女に会いに遣って来る。これも正確には<彼女がどう過しているか>確認する為だけである。
 二人は実際に再会していないが、寅さんがマドンナの幸福を確認した素晴らしい<再会>として記憶に残しておきたい。満男が菜穂と実際に再会するのと対照的な形で呼応させているので益々印象が強くなる。正に超然技巧と言うべし。

売れない歌手・小林さち子に当時既に紅白の常連歌手となっていた小林幸子が扮しているのが可笑しい。しかし売れたという曲は幸子の「おもいで酒」。パラレルワールドの小林幸子なのでしょうな。
 因みに彼女は売れない60年代には映画女優もどきの活動をしていた。「ある殺し屋」(1967年)以来の映画出演と思う。

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この記事へのコメント

ぶーすか
2007年01月29日 07:27
雷蔵主演の「ある殺し屋」は観ましたが、小林幸子が出演していたとは気がつきませんでした^^;)。また見直さなくては…。成田三樹夫もイイ味だしていて、雷蔵作品の中でも好きな1本です。
オカピー
2007年01月30日 01:32
ぶーすかさん、こんばんは。

まず字幕で小林幸子の名前が出ていたのですぐに気付きました。さあどこに出ていましたかな?(笑)
出る場面はあそこしかないと思いますが(笑)。

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