映画評「死ぬまでにしたい10のこと」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2002年スペイン=カナダ映画 監督イザベル・コヘット
ネタバレあり

2004年鑑賞映画メモより。

死病映画だが、女性映画である。女性映画だが、面白い心象風景ドラマになっている。

失業中の夫と二人の小さな娘を抱えキャンピング・カーで暮らす23歳の女性サラ・ポーリーは、突然医師からガン告知をされ、若いために進行が早くあと2~3ヶ月の命であると言われ呆然とする。
 しかし、彼女は邦題通り「死ぬまでにしたい10のこと」をリストアップして死を人生の転機と前向きに考える。家族の為に自分の時間を犠牲にしてきた彼女は時間を自分の為に使う為コインランドリーで知り合った男と不倫をし、娘たちの気に入る新しい母親を探し、絶縁していた父親と再会し、やがて死んでいく。

死は涙を誘う。しかし、それを目的として軽々に作られた死病映画は狙いが見え見えで涙も出て来はない。対し、最後の時間を積極的に自分のものにしようとした本作の主人公の前向きな生き方には、単純な死病映画では決して経験できない、心の底から涙が湧き上がる。これを止めることが僕にはできなかった。

ドキュメンタリー映画のような自然な演技に圧倒される。即興演出なのだろうか?

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この記事へのコメント

豆酢
2006年12月05日 16:30
映画で死を扱うことの難しさを感じます。
知り合いの女性は、主人公のエゴが鼻についたと言っておりましたし、また別の友人(女性)も、主人公は死を言い訳にしているだけだと憤慨していました。家族を騙すようで勝手ではないかとも。
彼女の行動は人によって捉え方が異なるかと思いますが、あくまで己の死を家族に隠し続けた気持ちは理解できます。死にゆく人間と同じぐらい、死を見送る人間も辛いわけですから。同じ立場に立たされたら、私も『死ぬまでにしたい10のこと』をリストアップするかもしれません…。ううう。
オカピー
2006年12月06日 01:31
豆酢さん、こんばんは。
私は、エゴがあるから人間的であると思いました。もし全てを奇麗事で飾るならこの映画を作る必要は感じません。
人間は、半分は自分のことを考える、半分は他人のことを考える。それが一番自然体ではないでしょうか。ヒロインは大体においてそれが出来ていたと思いますから、聖人でもないのに、余り非難しては可哀想です(笑)。

映画としては死を泣かす道具にしていない点を買います。「(人が死ぬのを見て)感動」などという日本語は間違っていると思いますよ。あれは同情であって、感銘という意味と同義語の感動なんかではないはずです。
viva jiji
2006年12月06日 07:24
横脇からオジャマさせていただきます。

私もプロフェッサーの意見に同意いたします。
ただ一点違うのは・・・
「私はほとんど自分のことしか考えておりません」(笑)

おのおのの「生」が異なるように
その「死」も違ってあたりまえだと。

本作の主人公は23歳という若さで
あの結論をあの短期間で出した。
そして、実行した。
そうです。「エゴ」です。

人はみな「エゴ」で生きてますよ。

この作り手はそれを包み隠さず描いたのです。

閑話休題。

ぐわっ!「死病映画」!!
強烈な響きのネーミング。(笑)

vivajijiの連想・・・

ロシア映画「妖婆、死棺の呪い」!

ぐわっ!!! 
豆酢
2006年12月06日 15:23
すいません、ちょっと言葉不足でした。

私自身は、死に対するこの作品の冷静な目線に非常に感銘を受けました(涙、涙の感動という意味ではありません)。知り合いの言うエゴイスティックという言い方は、主人公に対してあまりにネガティヴな意味で発せられていましたので、ちょっとげんなりしていたものです。
姐さんのおっしゃるように、人間なんてみなエゴです。エゴを持たない人は聖人でしょうね。死に瀕して人間の持つエゴを描いたという点で、この作品の存在価値があるのだと思っています。
個人的には、観客を泣かそう泣かそうとする映画には、もう心を動かされません。たとえそれがどんな「巨匠」の作った作品であっても、です。
オカピー
2006年12月06日 17:11
viva jijiさん、豆酢さん

いやご心配なく。豆酢さんがどういうつもりで書かれたかは解っておりましたよ。恐らくviva jijiさんもね。
姐さんは「殆ど自分のことしか考えない」などと謙遜されていますけど、そんなことはないでしょう。きちんと家族をまとめていらっしゃるご様子が伺えます。封建時代はいざ知らず、現代の家庭は母親がキーです。母親が笑わない家には笑顔がないのでは?
だた、エゴの質が悪いと始末におえないかもしれません。

死病映画と言っても、ペストなんてものではなくて、白血病だったり。流行のさきがけは「天使の詩」でしょう。あの頃はきちんと作られていましたが、乱造されて質が著しく下がった。困ったことに、映画の質に関係なく、人が死ぬのを観て泣きたがる客層もあるわけでして。

「妖婆、死棺の呪い」は、誰かさんがバトンで上げていましたっけ。観ましたよ、これ。原作は私の専門分野のプーシキン・・・いや、ゴーゴリだったかな。題名から受けるほど変な作品ではなかったような?

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