映画評「ぼくは怖くない」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2003年イタリア映画 監督ガブリエレ・サルヴァトレス
ネタバレあり

田園地帯のごく健全な少年が主人公なのに誘拐が大々的に扱われる変わり種で、原作はニコロ・アンマニーティのベストセラー。

家が5軒しかない辺鄙な土地に住んでいる10歳の少年ミケーレ(ジュゼッペ・クリスティアーノ)が妹の眼鏡を捜しに行き、遊んでいた廃屋に裏にある穴の中に少年(マッティーア・ディ・ピエッロ)を発見、翌日から水や食料を届け始め、やがて父親たちの話から彼が誘拐されたミラノの少年であることを知る。

あるタイプの小説や映画は人を実験台に置く。この作品もそういう類に数えても良いだろうが、突然降りかかってきた異常な出来事とその折々の要求に対し少年が考えを巡らすことで人間的に成長していくというお話になっている。

序盤の、ふくろうやムクドリといった鳥が飛び、ハリネズミといった小動物、蛇や蛙やミミズなどが徘徊する風景は楽しく、黄金色の麦畑の脇に咲いているアザミが美しい。
 子供のいる牧歌的な風景、それがどうなっていくのだろうかと思っている中、拉致少年の発見、誘拐の発覚と、明確に段階を踏んで真相が判っていく展開がなかなか巧い。しかし、設定に多少の無理があるのだろう、中盤の終りくらいから些か手詰まり感が見えて来る。

結局、ミケーレは少年の生命が危険に晒されていることを知り、危険を冒して少年が投げ込まれている納屋に向う。
 欲得でしか行動出来ない大人たちに対して二つの無垢な魂が交流しあうのは実に清々しいが、残念ながら抜群ではない。

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この記事へのコメント

ぶーすか
2006年07月22日 16:40
TB&コメント有難うございます。後で私もちょっと点が甘かったかな…と思いましたが、子供達がイキイキと描かれていたのと、イタリアの自然描写がとても美しかったのとが好きです。ちょっと切り口の変わったサスペンスでしたし…。
オカピー
2006年07月23日 16:19
ぶーすかさん、レスが遅れてすみません。
実は伯父の葬式があり、ただ今戻ってまいりました。
結局は児童冒険小説(映画)でもあるわけですが、ちょっと抜けきれないところがありましたね。
viva jiji
2006年07月24日 09:10
この作品には思いっきり肩透かしを食らいましたわ!
題名に惹かれて善光寺参りしたら「工事中」でがっかりして引き帰してきたような気分になった映画でした。(笑)
前半のサスペンスタッチと後半の陳腐さの格差があり過ぎでございます。
オカピー
2006年07月24日 17:26
viva jijiさん、相変わらず辛辣で(ご挨拶のつもり)。
巧いことを仰ります。題名に惹かれて善光寺参りか・・・五七五にしてみると、善光寺 出かけてみれば 工事中、てなところですね。
ストレートに言うと、そういう結論になります。私は子供が出ているということもあって、そこまでは辛辣になれませんでした(笑)。

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