映画評「(学生ロマンス)若き日」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1929年日本映画 監督・小津安二郎
ネタバレあり

小津安二郎のサイレント時代の佳作。現存する最古の作品(8作目)である。

テーマ的にはまだ模索中といったところかもしれないが、環境描写から入っていく作風は既に確立している。ヒッチコックを引き合いに出すまでもなく、本論に入る前の環境描写は些細であっても非常に重要であることを知らしめる。

大学生の斎藤達雄は、下宿を若い女性に譲ってその女性と縁を持とうと企み、スキーの好きな美人・松井潤子を引っ掛けるが、実は彼女は学友・結城一郎のガールフレンドである。
 斎藤演ずるこの学生は実に要領が良い男で、結城を見ていると気の毒になってしまうほどだが、結局彼女はスキー場で見合いを行い、二人とも振られてしまう。

他愛もないお話だが、編集が宜しくすこぶる快調なテンポで観られる。良い監督は若い時から違うものである。小津安二郎<若き日>の一こまでした。

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この記事へのコメント

2006年02月20日 02:47
 TBとコメントありがとうございました。現存する最古の作品でありますが、1929年度の作品が残されていること自体が奇跡的であり、溝口監督の作品が50本以上失われてしまっている現状からしても、松竹という会社は東宝と並んで、映画そのものを大切にする土壌が古くからあったのでしょうね。現在の映画ファンとしても、当時の作品を多く見られるのは嬉しい限りです。ではまた。
オカピー
2006年02月21日 16:42
用心棒さん、こんにちは。
20年代日本映画界を席巻した時代劇の傑作群が殆ど見られないのは残念です。初期の映画会社もそうでしょうが、伝統的に日本の政府が芸術・スポーツに理解を示さないという背景も無関係ではないでしょうね。
それで思い出すのは、電気用品取締法が電気用品安全法に改悪されて、4月より2000年以前発売の中古電化製品の販売が理論的に不可能になることです。特に若いミュージシャンを巡る音楽環境が悪化することが懸念されますね。

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