映画評「スーパーの女」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1996年日本映画 監督・伊丹十三
ネタバレあり

伊丹十三第9作。これぞマニュアル映画と言うべし。再鑑賞作品。

スーパー【正直屋】は、伊東四朗率いる【安売り大魔王】に価格破壊攻勢にたじたじ、専務で事実上のトップ・津川雅彦も参っているが、夫に死なれて帰郷した同級生・宮本信子と再会、客の立場からの弱点指摘に感心して彼女を副店長に抜擢する。
 職人たち内部の抵抗を受けるものの、彼女の地味な改革は徐々に成果を出すが、【大魔王】側もスタッフ引き抜き、株主買収など強硬手段に出てくる。果たして【正直屋】はどう対抗していくのか。

本来のマニュアル映画に立ち戻り、ディテールに面白さがいっぱい。「マルサの女」より我々に身近なテーマだけに実感を伴う。
 ヒロインの発想は逆転の発想が多い。例えば、大量に余った白菜を10円で叩き売るくらいなら、最初から少し値引きして売ったらどうか、特定の製品を2割3割値引くより全商品を1割値引く。庶民の生活観をうまく反映してもいて感心させられる。偽装表示についての指摘も先見の明がある。

余りに実務的で芸術的な香りは殆どないが、トータルの出来栄えでは伊丹の中でもトップクラスと言って良い。

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この記事へのコメント

FROST
2006年01月03日 22:52
オカピーさん、あけましておめでとうございます。
スーパーマーケットの実務に多少関係のある仕事をしていた経験があるのですが、公開当時ディテールのリアルさに驚いた覚えがあります。伊丹監督の本領発揮という感じですかね。
今年もぜひよろしくお願いします^^
オカピー
2006年01月04日 02:03
FROSTさん、明けましておめでとうございます。こちらこそ宜しくお願い致します。
売り手の立場は解りませんが、一人暮らしの時代の経験から買い手の気持ちはよく解ります。また、某メーカーで17年ほど市場開拓(海外企業相手)の仕事をしていましたので、売り手の気持ちも多少は解っているのかもしれません。
いずれにせよ、もっと高く評価されても良かった秀作です。
カカト
2006年01月04日 15:44
あけましておめでとうございます。
今年もものすごいペースで更新していらっしゃいますね(^^)

この映画もそうなのですが、「肉屋」という職業はなぜかあまり良いイメージで描かれないですよね。他の映画でも異常な印象を受けるものが多いような気がします。
オカピー
2006年01月05日 14:40
カカトさん、おめでとうございます。
今年も連日の更新を目指します。一日に一本はUPできますので、単純に計算しても年末には800本に到達。古い映画評をUPすれば1000本も可能かな♪などと思っていますが、少なくとも年内に小津安二郎、ヒッチコック、黒澤明、トリュフォーは全作品レビューを敢行したいです(至難)。

肉屋は確かにそうですね。比較的良いのは「ロッキー」?
ぶーすか
2008年04月12日 17:29
<偽装表示
「赤福」や「吉兆」などはこの作品を観てなかったんでしょうねー。今見ると、ずっと前に撮られた作品とは思えないほど、タイムリーなテーマに驚きます。
オカピー
2008年04月13日 09:15
ぶーすかさん、おはようございます。

社会派映画は時代を経ると意味が解らなくなったり、鮮度が醒めてつまらなくなることが多いわけですが、本作はまだまだ行けますね。
【先見の明】なんて一言で片付けたくないところです。

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