映画評「キング・アーサー」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2004年アメリカ映画 監督アントワーヌ・フクア
ネタバレあり

映画の誕生以来素材として限りなく使われてきたアーサー王と円卓の騎士の物語だが、これは従来のものとはまったく違って、半ば架空と言われるアーサー王のモデルとして最も確実視されている西ローマ帝国の司令官をベースにした史劇である。

舞台は5世紀のブリテン(現英国)で、力が衰えた西ローマ帝国が同地から撤退を決め、その際に現地の司令官アーサー(クライヴ・オーウェン)に、サクソン人の侵入している北部からローマ人一家を救出する命令を下す。
現地に到着したアーサーらが目にしたのはサクソン人の前にローマ人の圧制で、ゲリラの一員であるグウィネヴィア(キーラー・ナイトリー)を救い出す。これまで目にしてきたお姫様あるいはお妃然としたグウィネヴィアとは全く違っていることに代表されるようにリアリズムを前面に押し出しているので、史劇というよりは古代を舞台にした戦争アクションといったほうがふさわしい。
1938年製作「アレクサンドル・ネフスキー」よろしく、サクソン人と氷上で戦う場面などは昨今の映像技術の素晴らしさが堪能できるが、カメラではなくコンピューターに頼った部分はどこか味気なく、67年前のモノクロの迫力に遠く及ばない。

以降はアーサーの人となりを描きながら彼が王として崇められる前に如何にサクソン人と戦ったかを描くが、正直なところ、アーサー王伝説の様々な映画化を観てきた我々オールドファンには夢を壊される部分が多い。リアリズムが悪いということはないが、それならアーサーの人間像にもっと陰影が欲しい、かつての「エル・シド」のように。

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この記事へのコメント

2005年11月17日 17:21
>アーサーの人間像にもっと陰影が欲しい
同感です。
でも、同じ女性としてグウィネヴィアがかっこ良く描かれていた所は、気に入ってます。
オカピー
2005年11月17日 21:14
みのりさん、こんばんは。
古い作品のグウィネヴィアと関係ないヒロインとして観れば、颯爽として見ごたえ十分でしたね。

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  • <キング・アーサー> 

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  • キング・アーサー

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