映画評「世界の中心で、愛をさけぶ」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2004年日本映画 監督・行定勲
ネタバレあり

★「今、会いにゆきます」WOWOW初放映記念第3弾★

流行を追わない僕は昨年の夏ごろまでこのタイトルを知らずにいたが、片山恭一の原作は何と300万部の大ベストセラーである。夏目漱石もそのくらい売れたらよいのに。さて、これは大ロマンスである。

婚約者の律子(柴咲コウ)に置手紙をされた朔太郎(大沢たかお)は彼女を探しに故郷の四国へ向かうが、故郷へ戻り探す間に15年前(1986年)の高校2年時代への追想にふけってしまう。
 高校生の彼(森山未來)は、優等生で運動能力も抜群の同級生・亜紀(長澤まさみ)と交際をするようになる。心境を綴ったテープ交換が微笑ましく、これがなかなかうまい小道具として使われている。しかし、幸福な日々は長く続かず、彼は白血病を発病し髪も抜けてしまった彼女を憧れであるオーストラリア中部に連れて行こうとするが台風で果たせず、彼女は最後の吹込みをする。
 動けない亜紀に代わってテープを運んでいたのは何と小学生時代の律子だったが、交通事故でテープを届けられないまま15年の月日が流れ、律子は彼女なりに苦悩の日々を送っていたらしい。彼は亜紀の死に面と向かわない自分を恥じ律子に済まないと思う。二人がやっと再会を遂げると、15年前にできなかった豪州訪問を果たし、ここに二人は遂に心から結ばれるのである。

テープが届けられない事件は1957年の「めぐり逢い」のヴァリエーションみたいのもの。些か不自然ではあるが、アイデアとしては悪くない。但し、律子を前段で出したことで主人公の性格に些かの疑問を挟む余地が生まれたことは否めまい。
 とにかく、現実主義に走っていた世界特に日本の文芸界・映画界にあってかかる大ロマンスが人気を得て、甘い韓国ドラマがブームになる理由も分かる。韓国作品ほど大げさな作りをしていないのも好感が持てる。主人公たちが方言を喋らないなどのリアリティのなさも【映画上のリアリティ】として許容範囲であろう。

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この記事へのコメント

ぶーすか
2007年01月09日 14:59
TB有難うございます。
<韓国作品ほど大げさな作りをしていないのも好感が持てる
これは私も好感が持てました。飾りっけのないサッパリとした気性の女の子を演じた長澤まさみはまあまあ良かったと思ってます。でもその他は…。あれだけブームになったのにはそれなりに良かったからなんでしょうが、私にはさっぱりでした^^;)。
オカピー
2007年01月09日 15:41
ぶーすかさん、こんにちは。
相変わらずロマンス嫌いですねえ(笑)。
私はロマンスは散文的になりすぎてはいけないと思うので、きちんと作っていればそれなりに評価します。物語的に完全にきちんと出来ていたかは疑問がありますが、絵の質感が端正なのが良い。そういう作品には余り辛い点を付けたくないです。
長澤まさみは「ロボコン」も好演。素晴らしい青春女優です。そのまま良い大人の女優になるかは別問題ですが。
蟷螂の斧
2021年08月11日 12:16
こんにちは。我々日本人は山口百恵・三浦友和コンビのドラマ「赤い疑惑」以来ヒロインが白血病という展開に慣れてしまったのでしょうか?
先日この映画を初めて見ました。森山未來と長澤まさみが付き合いを始めた時は甘酸っぱい青春物語だと思う。だけど長澤まさみが演じる亜紀が白血病だとわかった瞬間にまたこういう設定かと思ってしまいました。
だけど律子(柴咲コウ)が可愛らしかったです。健気です。片脚を引きずっている理由も途中からわかりました。テープを届ける途中に起きた悲劇だったんですね。それから年月が過ぎてからテープを届ける律子。そして朔太郎と一緒に豪州に行く律子が本当に可愛い女性だと思いました。
写真屋のおじいさん(山崎努)もいい味を出してました。あんな人が近所にいたらいいなあ・・・。この映画を見て良かったです。

そう言えば夏目雅子さんや本田美奈子さんも白血病で亡くなられたんですね。当時皆さんが悲しんだ事を思い出します。まだ若かったのにお気の毒です・・・。

>「蒼いけものたち」

「八つ墓村」を金田一耕助なしで描くのも面白いかも知れません。

>「花はどこへ行ったの」と「500マイル」

良い曲はいろいろな人が歌います。良い曲は文化です。
オカピー
2021年08月11日 20:57
蟷螂の斧さん、こんにちは。

ある時から検索エンジンが極めておかしくて(前から完璧ではなかった)、まともに記事に行き着くことができないのですが、よくこの古い記事を発見されましたね!

>「赤い疑惑」以来ヒロインが白血病という展開に慣れてしまったのでしょうか

「赤い疑惑」が生れたのも、それより数年前の1970年に「ある愛の詩」の大ヒットの影響かもしれませんね。
余り似た設定のものが続けば、誰しも良い顔はできません。

>夏目雅子さんや本田美奈子さん

夏目雅子は、もう少し時代が後であれば助かったかもしれません。尤も本田美奈子は治る確率が格段に上がった時代ですけど、亡くなりましたから、運命なのでしょうかねえ。
双葉師匠は、夏目雅子がご贔屓でしたよ!

>良い曲は文化です。

幅広い曲想で日本のビートルズと僕が勝手に呼んでいる(そう言う人も少なくない)スピッツの「ロビンソン」も40人くらいがカバーしているらしく、これはなかなか大したものですよ。この曲は、初めて聞いた時に既に古典であると感じ、その思い通りになりました!
蟷螂の斧
2021年08月12日 05:37
おはようございます。「世界の中心で、愛をさけぶ」で検索したら「アジアンタムブルー」(未見)に辿り着きました。そしてこの記事です。

>「ある愛の詩」の大ヒットの影響

そうかも知れません。そして「ある愛の詩」の吹替版を百恵・友和コンビが担当していました。

>双葉師匠は、夏目雅子がご贔屓でしたよ!

そうでしたか!ちなみに夏目雅子が出演してる映画で双葉師匠が好きな作品は?

>スピッツの「ロビンソン」

1997年。名古屋の小劇場で「銀ちゃんが逝く~蒲田行進曲完結編」が上演された時、銀ちゃんの娘ルリ子(白血病)と小夏が本音で話をする場面で使われました。「いい曲だなあ~」と思いました。小夏を演じた女優さんは2009年に子宮頸がんで38歳の若さで亡くなりました。告別式に僕も出席しましたが、たくさんの演劇関係の人達が涙を流していました。
オカピーさん
2021年08月12日 22:51
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>「アジアンタムブルー」(未見)に辿り着きました。そしてこの記事です。

該当する記事がありませんと出るケースが大半なので、関連作品が出るだけでも運が良い方です。トホホです。

>「ある愛の詩」の吹替版を百恵・友和コンビが担当していました。

「赤い疑惑」の後のバージョンかもしれませんね。

>ちなみに夏目雅子が出演してる映画で双葉師匠が好きな作品は?

「時代屋の女房」ですね。☆★は多くないのですが、ふらりと現れる夏目雅子がはかなげで陶然とした、と仰っています。

>1997年。名古屋の小劇場で「銀ちゃんが逝く~蒲田行進曲完結編」が上演された時

そんなことがありましたか。
オカピー
2021年08月13日 08:23
蟷螂の斧さん、こんにちは。

前のコメントの発信者がオカピーさんになっていますが、オカピー本人に間違いありません。

昨日ワクチンの二回目接種を行った結果、左腕の激痛と発熱で調子が悪いです。
蟷螂の斧
2021年08月13日 08:50
おはようございます。昨日は妻と一緒に「君に届け」を見ました。多部未華子と三浦春馬共演。いかにも少女漫画を映画化した作品でした。

>オカピー本人に間違いありません。

わかっていましたよ(笑)

>昨日ワクチンの二回目接種を行った結果、左腕の激痛と発熱で調子が悪いです。

そういう話を聞くと小心者の僕は不安になってしまいます・・・。21日に二回目です。

>時代屋の女房
>ふらりと現れる夏目雅子がはかなげで陶然とした

「陶然」と言う表現が面白いです。
続編では夏目雅子が入院したので名取裕子が代役。その数か月後に雅子さんは・・・。

>そんなことがありましたか。

裕福な家庭で育った女性ですが、演劇の魅力に取りつかれて大学を中退。アルバイトしながら演劇の稽古。そして上演。美人で性格も良い女優さん。みんなに愛されていました。僕も彼女の演劇をよく見に行きました。演劇終了後にプレゼントを渡してツーショットの写真を撮ってもらいました。僕がまだ独身で暇だった頃の思い出です。
オカピー
2021年08月13日 21:49
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>そういう話を聞くと小心者の僕は不安になってしまいます

解熱剤(鎮痛剤)を打ては大概あっという間に治りますので、御心配には及びません。38.2℃まで上昇したので仕方なく鎮痛剤を服用したら、30分で0.5℃下がり。2時間で平熱に戻りました。
特にモデルナであれば、鎮痛剤を用意しておいた方が無難です。
腕の痛みは明日中にはほぼ消えるでしょう。

若い人が積極的に接種しないと、インフルエンザにおけるタミフルのような決定的な飲み薬ができるまで、飲食業・観光業は成り立ちませんよ。
 デルタ株にはもはや集団免疫はないとまで言われるようになりました。やれやれ。
 先月の「朝まで生テレビ」を先程録画で見ていたら、一般の方の意見で、“コロナ・ワクチンの接種(をするか否か)は民主主義云々では語れない。病気で接種できない人以外は皆打つべきだ”というのがありました。僕もそう思います。接種を強制してはいけないなどと言っているメディアはコロナを軽んじているまがい物です。それによって死ぬ(経済死する)人が出て来るのです。政府が店に金を出すとか出さないという問題以上に深刻なのです。
 映画館、劇場、ライブ会場、スタジアム、学校等入場にワクチン・パスポートを導入する。若い人に打たせるにはこれしかない。さすがに強制はできないので、事実上の義務策みたいなものですが、デマを信じている若い人はこうでもしないと動かない。病気で打てない人は無料PCR(現在自発的に行うPCRは有料)で対応する。
 アメリカでは新規感染者の99%はワクチン未接種の方。為に最近またワクチン接種が進み始めたそうです。

>僕がまだ独身で暇だった頃の思い出です。

半ば知人だったのですね。
夏目雅子も儚かったですが、彼女もまた。

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