映画評「パンチドランク・ラブ」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2002年アメリカ映画 監督ポール・トーマス・アンダースン
ネタバレあり

8人の姉妹に蔑まされるアダム・サンドラーはメキシコ系の友人とささやかな商社を経営しているが、食品会社のクーポン券の印刷ミスを利用して大量のマイレージを貯めようとしている奇妙な男。気が短く若い頃に窓ガラスを割ったことがあったのだが、今は姉妹にその旧悪を言われることが大嫌い。そんなある日姉妹の一人が同僚の女性エミリー・ワトスンを彼に紹介、彼女は正式に紹介される前から彼が気に入っていたのだが、何故かこの奇妙な男に恋をする。

「マグノリア」というロバート・アルトマンの亜流作品が評判を呼んだポール・トーマス・アンダースンの次回作だが、個人的にはこちらのほうが気に入った。前作はまわりくどくて感心できず、この奇妙な小品のコンパクトさのほうに好感が持てるのである。

さて、テレフォン・セックスの女から金を揺すられる事件があり、女の恋人の一味が押し寄せてくるのだが、すっかり愛情を深め合っていたエミリーを傷つけられると、彼は持ち前の凶暴性を発揮して相手をこてんぱんにやっつける。それだけでは気が治まらず、カリフォルニアからユタ州まで出かけ相手を驚かせる。
 通常の作品ならここで主人公は大暴れし、また相手も銃を発砲するようなことになるのだろうが、本作では何も起こらない。主人公は言葉を発しただけで帰り、相手も彼の性格の執拗さに怖気づくだけである。この処理が興味深く、おかげで幕切れで彼女が素直に彼を受け止めるというエンディングの爽やかさに結び付く。

音楽も良く、ニルスンの「ヒー・ニーズ・ミー」の曲調の面白さが印象に残るが、そう言えばこの曲はアルトマンの「ポパイ」の主題歌だったような気がする。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 「映画評「パンチドランク・ラブ」」について

    Excerpt: 「映画評「パンチドランク・ラブ」」について 高い点数がつきましたね!(^^♪ なぜか忘れられない作品です。主演のアダム・サンドラーは有名なコメディアンなんですね。随分前に「ウェディング・シンガー」を.. Weblog: Favorite things racked: 2005-10-27 17:37