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映画評「名もなき生涯」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2019年アメリカ=イギリス=ドイツ合作映画 監督テレンス・マリック ネタバレあり テレンス・マリック監督は最近まで非常な寡作であったが、近年は精力的に活動している。概して内容は純文学という以上に哲学的で、正確に理解するのはハードルが高い。その点本作はタッチは従来通りながら、実話に基づいた内容は…
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映画評「ニューオリンズ」

☆☆☆(6点/10点満点中) 1947年アメリカ映画 監督アーサー・ルービン ネタバレあり プライムビデオの無償リストに観ていない洋画は(ドキュメンタリー、TV映画を別にすると)殆どないが、この日本劇場未公開映画は初鑑賞。音楽の見識を増やそうと観てみた。 1917年のニューオリンズはベイズン・ストリートからお話は始まる。…
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映画評「21世紀の資本」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2018年フランス=ニュージーランド合作映画 監督ジャスティン・ペンバートン ネタバレあり 題名から解るように、数年前に日本でも相当話題になって経済学書にも拘らず売れに売れたトーマス・ピケティの「21世紀の資本」の映像版でござる。  従って、この本を読んでいる人は敢えて観るに及ばない。言い換え…
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映画評「寝ずの番」

☆☆★(5点/10点満点中) 2006年日本映画 監督マキノ雅彦 ネタバレあり 2006年の春先、津川雅彦がマキノ雅彦の別名で初メガフォンを撮ったことを某公共放送局が取り上げていた。映画館に行くほどではないにしても、映画揺籃記から成長期にかけて大きな働きをしたマキノ(牧野)家の血がどのように発揮されるかと楽しみにした。が、翌年…
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映画評「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2019年アメリカ映画 監督ライアン・ジョンスン ネタバレあり 昨年観た「アガサ・クリスティー ねじれた家」と似た構図のお話だが、オリジナル脚本にしてあの作品より遥かに面白い。本作は、観光要素のないポワロものみたいなものと言えば、当たらずと雖も遠からずだろうか。 老ミステリー作家クリストフ…
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映画評「長屋紳士録」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 1947年日本映画 監督・小津安二郎 ネタバレあり 小津安二郎の戦後第一作は、戦前の“喜八もの”の系列上にあるものである。“喜八もの”ではないが、喜八(坂本武)が実際に出て来る。我が家のライブラリーより状態が良いにちがいないと信じ、プライムビデオで久しぶりに観る。 戦後二年目くらいの東京が…
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映画評「七つの顔」

☆☆★(5点/10点満点中) 1946年日本映画 監督・松田定次 ネタバレあり コミックとそのTVアニメ化「キューティーハニー」(1973-74年)にパロディー的にその台詞が応用され、大瀧詠一が別名として使った多羅尾伴内が活躍するミステリー・シリーズ第一弾。長いこと映画ファンをやってきたが、初めて観た。  GHQの政策により…
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映画評「何が彼女をさうさせたか」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 1930年日本映画 監督・鈴木重吉 ネタバレあり 1930年度の【キネマ旬報】ベスト選出は変則で、洋画はトーキーとサイレントとに分かれ夫々二本と三本、邦画は現代劇と時代劇とに分かれて三本ずつ(全てサイレント)しか選ばれていない。  その年の邦画現代劇部門で1位に選ばれたのが本作である。当時流行…
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映画評「ナイト・オブ・シャドー 魔法拳」

☆☆(4点/10点満点中) 2019年中国映画 監督ヴァッシュ・ヤン ネタバレあり 作家兼ゴーストハンターのジャッキー・チェンが、幾つかの小事件の後、蛇から人間になった青年イーサン・ルアンと彼を人間にする代わりに自らは妖怪になった美女エレイン・チョン(役名シャオチン)の悲恋に遭遇、彼らと壮絶な戦いを繰り広げながらも陰陽の間(幽…
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映画評「ナポリの隣人」

☆☆★(5点/10点満点中) 2017年イタリア映画 監督ジャンニ・アメリオ ネタバレあり イタリアのジャンニ・アメリオ監督の、個人的には三本目の鑑賞作品。初めて彼を観た「家の鍵」(2004年)と明らかな共通点がある。壊れたもしくは壊れかけた家族関係の再生である。 軽い心筋梗塞を起こした元弁護士の老人ロレンツォ(レナート…
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映画評「凪待ち」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2019年日本映画 監督・白石和彌 ネタバレあり 最近邦画で注目される監督にバイオレンスを得意とする人が多いのはある意味困ったものだが、その一人白石和彌監督の新作。一種の大震災後遺症映画である。 競輪に金をつぎ込んで同居するパートナー亜弓(西田尚美)に迷惑をかけている元印刷工員郁男(香取慎吾…
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映画評「野のユリ」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 1963年アメリカ映画 監督ラルフ・ネルスン ネタバレあり 多分3回目だが、2回目ということにしておきましょう。いずれにしても最初に観たのは1970年代の地上波(ある人の情報によれば、淀川長治氏の解説による “日曜洋画劇場” だったらしい)吹き替え版。上映時間が94分しかない作品なので、ほぼノー…
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映画評「渚にて」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 1959年アメリカ映画 監督スタンリー・クレイマー ネタバレあり キューバ危機の前、冷戦がピークに達した頃に作られた反核SFで、初めて観たのは1970年代中学生か高校生の頃。徹底して静かであるが故に怖く、極めて強い印象を残した。二回目は多分今世紀に入ってブログを始める前に衛星放送による完全版で観…
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映画評「日本海大海戦」

☆☆☆(6点/10点満点中) 1969年日本映画 監督・丸山誠治 ネタバレあり 東宝8・15シリーズ。  新東宝の「明治天皇と日露大戦争」(1957年)を下地にしたようなところがあるが、新東宝作品が明治天皇に軸を置いたのに対し、本作は連合艦隊司令長官の東郷平八郎(三船敏郎)に主軸がある。 1903年末、日本は義和団の事…
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映画評「人間失格 太宰治と3人の女たち」

☆☆★(5点/10点満点中) 2019年日本映画 監督・蜷川実花 ネタバレあり 2010年に太宰治の自伝的小説「人間失格」が映画化されているが、9年後のこれは戦後の自堕落な太宰本人の伝記映画。映画は“実話を基にしたフィクションである”と予防線を張っているが、少なくともお話の経緯は事実そのものである。  去る春に「斜陽」を再読…
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映画評「ニューヨーク 最高の訳あり物件」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2017年ドイツ映画 監督マルガレーテ・フォン・トロッタ ネタバレあり 「ハンナ・アーレント」(2012年)でなかなか強いインパクトを残した女性監督マルガレーテ・フォン・トロッタががらっと趣を変えて拵えた辛辣なコメディーである。欧米が定義するコメディーであって、日本の “喜劇”とは違う。この辺を混…
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映画評「泣き虫しょったんの奇跡」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2018年日本映画 監督・豊田利晃 ネタバレあり 将棋は全くできない。興味も余りなく、棋士は十余名知っているだけだが、何故か本作の主人公・瀬川晶司は知っていた(但し名のみ)。 小学校時代将棋で隣家の同級生鈴木君と競い合っていた瀬川少年(青年期:松田龍平)は揃って将棋道場に通い、その座主(イッ…
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映画評「長いお別れ」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2019年日本映画 監督・中野量太 ネタバレあり レイモンド・チャンドラー同名小説の日本版ではなく、中島京子の小説を中野量太が映画化したホームドラマ。認知症の老人をめぐる家族のお話だが、中野監督だからひねくれていたりユーモアを交えたところもあり、めそめそ一辺倒でないところがよろし。 東昇平…
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映画評「泣くな赤鬼」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2019年日本映画 監督・兼重淳 ネタバレあり 大衆的であっても通俗に落ちない作品を好みとする僕には重松清という作家の映画化作品は良い感じで見られる。この作品はどちらかと言えば余り感心しないのだが、何と言っても地元(群馬県西毛地区)の高校群、中でもわが母校がはっきりと確認できた身贔屓で★一つ分おま…
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映画評「日日是好日」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2018年日本映画 監督・大森立嗣 ネタバレあり 時代は変わったもので、エッセイの類がドラマ映画として頻繁に映画化されている。本作は、エッセイスト森下典子の自伝的同名エッセイを、大森立嗣が映画化した、ドラマである。 二十歳の大学生・典子(黒木華)が家族とたまたま居合わせた従妹美智子(多部未…
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映画評「ネバーエンディング・ストーリー」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 1984年西ドイツ映画 監督ヴォルフガング・ペーターゼン ネタバレあり 新米の社会人だった頃観ました。映画館ではなく秋葉原へ行った帰りに子供たちが「本のほうが面白い」と言っているのを聞き、修行が足りんと思った記憶がある(笑)。  当時、児童文学にはさほど詳しくない僕は、この映画を観るまでミヒャ…
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映画評「ナチス第三の男」

☆☆(4点/10点満点中) 2017年フランス=イギリス=ドイツ=ベルギー=アメリカ合作映画 監督セドリック・ヒメネス ネタバレあり がっかりしたなあ、もう。一年半前に観た「ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦」と同じ素材を扱ったお話ではないか。  この邦題からナチスの高官を扱った作品であることが予測され、実際開巻後45…
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映画評「七つの会議」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2019年日本映画 監督・福澤克雄 ネタバレあり 今年二本目の池井戸潤原作の映画。最初の「空飛ぶタイヤ」の販売会社側だけをフィーチャーしたと思えば、当たらずと雖も遠からず。 大企業ゼノックスの傘下にあるチェア製造販売の中企業ケンデン(東京建電)。そこに対照的な成績を残す営業一課と営業二課が…
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映画評「寝ても覚めても」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2018年日本映画 監督・濱口竜介 ネタバレあり 八日間で何と三本目の二役映画である。作り方はぐっと明快ながら「2重螺旋の恋人」と似ているところがある。原作は柴崎友香の同名小説で、監督は新人の濱口竜介(メジャー映画デビュー作)。 大阪の21歳女性朝子(唐田えりか)が写真展で見かけた青年・麦…
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映画評「2重螺旋の恋人」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2017年フランス=ベルギー合作映画 監督フランソワ・オゾン ネタバレあり フランソワ・オゾンの新作は一種のミステリーである。 妙齢美人クロエ(マリーヌ・ヴァクト)が謎の腹痛の為に色々な病院で診てもらうが特段の異常はなく、精神的なものと言われる。そこで精神分析医ポール(ジェレミー・レニエ)を…
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映画評「ノクターナル・アニマルズ」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2016年アメリカ映画 監督トム・フォード ネタバレあり テレビ東京(BSテレ東)で放送している「ファッション通信」を一時期見ていたので、ファッション・デザイナーのトム・フォードの名前は知っている。映画を作っていたことは知らなかったが、本作を観るとなかなか映画作りの才能もある。 前衛芸術を仕…
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映画評「人魚の眠る家」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2018年日本映画 監督・堤幸彦 ネタバレあり 原作は人気作家・東野圭吾のデビュー30周年記念小説だそうでござる。お得意のミステリーではない。 IT器具会社の社長である夫・和昌(西島秀俊)と別居している主婦薫子(篠原涼子)が、小学校へ上がる直前の娘・瑞穂が町のプールで事故で溺れ、植物状態と…
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映画評「野のなななのか」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2014年日本映画 監督・大林宣彦 ネタバレあり 大林宣彦監督による【戦争三部作】第2作。圧倒された前作「この空の花 長岡花火物語」を踏襲したところが多く、その登場人物であった山下清らしき人物が一列に並んだ楽隊の最後尾で太鼓を叩いている遊びまである。しかし、本作は前作ほど混沌としていないが故に却…
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映画評「皆殺しの天使」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 1962年メキシコ映画 監督ルイス・ブニュエル ネタバレあり 独裁政権のスペインから逃避していたメキシコでのルイス・ブニュエルは解りやすい作品ばかりだが、これは例外的にシュール。難解というよりシュールなのである。再鑑賞。 上流階級のパーティーを準備していた召使たちが、彼らが外から帰ってくる…
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映画評「猫は抱くもの」

☆☆★(5点/10点満点中) 2018年日本映画 監督・犬童一心 ネタバレあり 大山淳子の同名連作短編集の映画化。「グーグーだって猫である」で実績があるせいか、犬童一心が監督に選ばれた。 アイドル・グループの一員だった大石沙織(沢尻エリカ)は現在スーパーのレジ担当をしている。身を棄てて奮闘したものの思ったように人生が進ま…
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