映画評「007/カジノ・ロワイヤル」(1967年版)

☆☆☆(6点/10点満点中)
1967年イギリス=アメリカ合作映画 監督ジョン・ヒューストン、ヴァル・ゲスト、ケン・ヒューズ、ロバート・パリッシュ、ジョゼフ・マクグラス
ネタバレあり

僕の記憶では日本のTVに初めて登場した007がこれである。前後編に分けて放映され、ほぼカットはなかったと思う。
 そそっかしい僕の級友がご本家と信じて“つまんない”と言っていたのを思い出す。僕もその時に観て、どう考えてもご本家ではないと理解できた一方、(心の中で)面白くないという意見にはほぼ同意していた。尤も、パロディ満載な本作の元ネタを全く知らない時代に観たので無理もないわけだが。

ジェームズ・ボンドが、同僚美人ヴェスパー・リンド(ウルスラ・アンドレス)と組み、カジノでソ連の組織スメルシュの在仏工作員ルシッフル(オースン・ウェルズ)とバカラの勝負をする、という原作の設定はちゃんと踏襲しているものの、それまでとその後は殆ど映画オリジナルと言って良い。

色々ふざけたアイデアがある中でも引退したご本人(デーヴィッド・ニーヴン)を含めて七人のボンドが出て来るというのが筆頭。そうなった経緯は、英米仏ソの代表が平和を求めて、ある組織を壊滅させるべく、出馬を依頼して来たから。
 マタ・ハリを死なせた過去がある彼は、彼女の間にマタ・ボンドという娘(ジョアンナ・ペティット)まで設けているが、今ではすっかり女嫌い(笑いどころであります)。そこで彼は女性に耐性のある女好きを代理に選ぶ作業に入り、バカラ名人のトレンブル(ピーター・セラーズ)を任命、カジノに派遣するわけである。

かくして本物以外のボンドは6人出て来るわけだが、一人は娘、一人は甥(ウッディー・アレン)。偽装ボンドは4人で、そのうちヴェスパーともう一人エージェント(ダリア・レヴィ)は女性。
 女性007が話題になっている(先週末公開されたらしいが、知らなかった。その前日に本作を鑑賞したのは全くの偶然。しかし、アマゾンプライム無償枠に本作とシリーズの一部が入って来たのはその為だろう)が、この映画のほうが50年以上も早かったと言えないこともない。

当時日本では全く無名だったアレン扮する甥の扱いがなかなか面白く、言わずもがなの幕切れは相当ふざけている。
 パロディは多いが色々ありすぎて思い出し切れない。最初に印象に残ったのは「野性のエルザ」の音楽で、出演と監督を兼任しているジョン・ヒューストンの「赤い風車」の主人公ロートレックにセラーズが扮する場面など、パロディというより楽屋落ちそのものだ。逆発射ピストルは007シリーズのパロディのような「サイレンサー」シリーズのパロディみたい(パロディのパロディですな)。

といった具合に、部分部分は非常に可笑しく楽しめるわけだが、話の進行ぶりは出たとこ勝負的でまことに締まらない。監督がヒューストンを含めて5人いて、別々に演出したようではあるが、文字通り、船頭多くして船山に上ってしまったのだろうか?

た行にするか、さ行にするか。僕らが子供の時には“ゼロ・ゼロ・セブン”と当たり前のように言われていたので、こちらで行きます。因みに、この映画では誰かが“オー・オー・セヴン”と言っていた。これを採用すればあ行です(笑)。

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