映画評「82年生まれ、キム・ジヨン」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2019年韓国映画 監督キム・ドヨン
ネタバレあり

新聞の文芸欄でこの題名を読んだことがある。勿論、そこで取り上げられた小説の地元・韓国による映画化である。ストーリーよりメッセージという印象がある為、余り梗概を書く気が起こらないのだが、簡単に書いてみる。

キム・ジヨン(チョン・ユミ)は30歳くらいの主婦で、出産と育児の為に広告会社を辞めるが、一種の憂鬱により時々友人や親族の女性が憑依したような言動を吐く異変を発症する。
 この辺りまでは、夫デヒョン(コン・ユ)によるセラピストへの説明として解釈できるような扱いとなっている。

そんなある日、彼女は元の女性上司が起こした企業に再就職する気になるが、義母に反対され、また夫の自分が別人になる姿を見せられてその意志を曲げ、セラピストの許に足を運ぶ。セラピストに“ここまで来れば治療は半ば終わったようなもの”と言われて安心し、やがて再生する(自伝を発表する)。

男尊女卑あるいは父権主義に関しては、現在ではイスラム圏が最悪だが、儒教圏もなかなかしぶとくその精神が生き残っている。形としては平等になりつつあるも、人々の意識が余り伴っていない。日本も韓国も似たようなもので、男性は勿論、夫君の義母のように女性でも男尊女卑の考えから抜け出せない考えの持主が少なくない。欧米人が言う“ガラスの天井”というのも正にこれである。

本作は、そうした意識が様々な状況で発露する様子を見せるのを眼目としてい、些か語弊があるが、それらの問題の数々が映画的な面白味を醸成する。
 しかるに、“何が彼女をそうさせるか”を説明する為に奔放に過去を挿入する“回想手法”が映画技術的に不満で、特に時系列的に近いところに観客を混乱させかねないところが多い。また、後半の韓国的感情表現に興醒めさせるところがある。これは韓国映画というより、韓国人の傾向なのだろうが。

直球のフェミニズム映画だけに却って潔さが感じられ、欧米の韜晦的なフェミニズム映画より遥かに良いと思うが、とは言え、この手は映画で見るより小説を読んだ方が面白そうだ。

タリバンが政権を奪取してしまった。女性は勿論男性にとっても悲劇だ。アフガンは益々彼らに協力的な国に頼って行かざるを得ない。女性を生かせなければ、真に経済が発展し科学が進歩することはないのだ。中国がタリバンに協力的なのは、連中がウイグルに悪い影響を与える前に懐柔しておこうということだろう。タリバンが裏切れば面白い。尤もタリバンより中国共産党の方がまだ良いかもしれない。自分の考え以外は認めないというのは実に愚かで、それ自体イスラム教本来の教えに反する。

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