映画評「フィーシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2019年イギリス映画 監督クリス・フォギン
ネタバレあり

二日続けて英国製の音楽絡みで、それも地方色を打ち出すという共通性がある。フィッシャーマンズ・フレンズというフォーク(民謡)・グループをめぐる実話もの。

ロンドンの音楽マネージング会社(?)の社員ダニエル・メイズが、上司らと訪れたコーンウォールの港町で民謡を歌う漁師・救助隊の素晴らしい歌声を聞く。上司は彼に彼らをスカウトするように諭す。真面目なメイズは、揶揄われているとも知らずに懸命に嫌がる彼らを説得してやる気にさせる。
 やがてメイズがなかなか帰って来ないのに苛立った上司が真相を明かすが、今となって後に引けなくなった彼は、宿泊所も営んでいる救助隊の頑固親父ジェームズ・ピュアフォイの娘タペンス・ミドルトンに惹かれていることもあって、彼らをレコード契約に導くのに躍起になり、レコード会社関係者の一言に乗じた企画が奏功して遂にレコード発売と相成る。
 が、好事魔多し、彼らの集う由緒あるパプの売買に関し口利きをしたことを誤解され、パブ経営者以外の町民から総スカンをくらう。悪気はなかった彼は売った相手から買い戻し、パプを旧態依然に維持することを確約、そこで聞いたランキングの発表も上々、ロンドンの家も売って町の為に働く覚悟を示したメイズは信頼を取り戻す。

どういう現象なのか正確に分析できていないが、近年故郷や地方を愛おしむ映画が多い。昨日の「ワイルド・ローズ」ではヒロインが故郷への愛を歌い、本作では作者が土着の民謡を歌う地方人に愛情を示す。

「ワイルド・ローズ」より商業映画的に型通りの進行ぶりながら、その型例えばメイズの善人ぶりがくどくなく扱われ、タペンスの娘(メドウ・ノブレガ)との親密な関係描写を筆頭に、人情的な映画として良い味を生み出しているところが頗る好もしく、★一つの差を付けた。寧ろ映画芸術的には「ワイルド・ローズ」のほうが上だと思うが。

個人的にタペンス・ミドルトンは好みのマスク。

こういうケルト的な音楽が聴ける映画を観た後は、英国のフォークロック・グループ、フェアポート・コンヴェンション特に名作「アンハーフブリッキング」を聴きたくなる。

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