映画評「犬鳴村」

☆☆(4点/10点満点中)
2020年日本映画 監督・清水崇
ネタバレあり

清水崇監督の新作ホラー。

現在使われていない犬鳴トンネルというのが福岡県にあり、心霊スポットして知られ、幾つかの都市伝説があるようである。その都市伝説を基に案出されたお話らしい。

まず、若いカップル坂東龍汰と大谷凛香がその伝説を確認しようとトンネルに入り、撮影をし続け、何者かに襲われるものの何とか無事に帰還する。が、実際には少しも無事ではなく、彼女は変な歌を歌った挙句に塔から墜落死する。

その死に方が清水監督らしいオカルト的なもので、相当仰々しい。

彼女の死からトンネルの向こうに存在したという村(そもそもそれ自体が都市伝説らしい)と若者の出自が関連しているらしいことが判って来るが、ここから主人公となるのは若者の妹で精神科医の三吉彩花で、兄や弟がトンネルに消え、その現場で母親高島礼子が時に狂暴化、父親高嶋政伸が“両家は結ばれるべきではなかった”と妙な発言をするのを見聞する。
 母方の祖母から霊を見る能力を引き継いだ彼女は、その伴侶たる祖父・石橋蓮司から“祖母は自宅前で発見された捨て子で、ダムに沈んだ犬鳴村の出身なのではないか”という話を聞かされた後、亡霊の古川毅と遭遇し、彼と共にトンネルを通じて村の中に入っていく。

総じて「リング」に端を発する亡霊ものの系譜に連なる作品だが、オカルト・ホラー以外の要素も色々とあり、集団で襲う亡霊がゾンビ的であり、犬殺しの伝統があった村だけに狼男のヴァリエーションもあり、終盤でタイム・スリップの要素が加わり、ダム建設にまつわる犬鳴村の悲劇を明らかにしていく全体の構図は結構本格的なミステリーと言える。
 だから、清水崇流のおどろおどろしい恐怖を期待すると終盤は腰砕けの印象があり、余り怖くない。また、最後の落ちは不要であろう。

そう言えば、彼女が診る少年の出生の秘密は「オーメン」からの借用と見る(母親が知らないうちに父親が死んだ子供の代りに養子を貰う。その子供の実母が犬絡み)。

コロナが本格化する前、わが家に営業に来る銀行の女の子(ホラー好きを自称)が観たと言っていたっけ。その呪いか、彼女は二か月後に犬鳴村に、もとい、別の支店へ転属になった。

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