映画評「ロイ・ビーン」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1972年アメリカ映画 監督ジョン・ヒューストン
ネタバレあり

1970年代にTVと映画館で二度、今世紀初めに衛星放送で一度観ていると記憶するので、今回が4回目。しかし、結構憶えていないところがあるもので、今回も面白く観た。Allcinemaでの平均点6.4、 IMDb では7.0と余り芳しくない。IMDbくらいなら良いが、通が多いはずの Allcinema の平均点(投票数が少ないとは言え)は、実力に比して、かなり低いように思う。

テキサスの蛮地に着いたお尋ね者ロイ・ビーン(ポール・ニューマン)が、そこにある酒場(とも言えないようなレベル)でならず者や娼婦たちからリンチに遭う。何とか生き永らえた彼は関係者を皆殺しにし、自ら判事を名乗り、酒場を裁判所を兼務するように改装すると、そこに流れ者5名ほどが現れ、保安官にしてくれと頼む。

ここまで日本人の感覚では相当デタラメであるが、ロイ・ビーンを含め、これが想像以上に善意の持主で、周辺にいる悪党たちを処分していくうちに町が成立していく。

女優リリー・ラングトリー(エヴァ・ガードナー)を崇拝する彼は、自分を慕うメキシコ人少女マリア(ヴィクトリア・プリンシパル)を近くに置きながら、なかなか愛人や妻にしようとはしない。ここに現れるのが土地の所有者を名乗る弁護士ガス(ロディー・マクドウォール)で、判事の不在中に町長に任じられるなど次第に実力者に祭り上げられる一方、漸く実質的に妻としたばかりのマリアを産褥熱(?)で失うと、生れたばかりの女児ローズを置いて町から消える。
 20年後石油成金となったガスがマフィアを配下に置いてやりたい放題、今や妙齢美人となったローズ(ジャクリーン・ビセット)と育ての親テクター(ネッド・ビーティ―)を追い出そうと脅迫している。そこへビーンが現れ、ガスの油田を燃え尽くさせる。
 さらに10年後、リリーが今や再びさびれた片田舎になった自分の名前がついた駅を降り、彼女を崇めたロイ・ビーンを記念する博物館を訪れる。

完全に実話通りでないにしても、中盤までの人々の荒唐無稽な行状に呆れ(褒めている)、悪党一掃の爽快感の後、リリーに向けたビーンの崇拝の念・純情が報いられるラストのロマンティシズムに胸が熱くなる。
 出演もしているジョン・ヒューストンの展開ぶりが好調、面白おかしく、非正統派西部劇の中で筆頭に挙げたくなるような秀作である。ヒューストンはこれで復活し(たと当時言われ)、脚本を書いたジョン・ミリアスは良い本を書き続ける。中でも本作が好きだ。

WOWOWも7,8年くらい前までは古い映画(本作は多分その頃録画)もぽつぽつやってくれた。最近は我々オールド・ファンに非常に冷たく、シリーズものに力を入れ過ぎている。NHKは古い映画はやってくれるがかなりだらしない。

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