映画評「暴走パニック 大激突」

☆☆★(5点/10点満点中)
1976年日本映画 監督・深作欣二
ネタバレあり

深作欣二監督シリーズ第2弾。昨日の「資金源強奪」に続く強盗ものだが、完成度は大分劣る。但し、馬力はある。

バーテンの渡瀬恒彦は、小林稔侍と組んで、西から東へと銀行強盗を続けてい、資金が十分溜ったらブラジルへ行くつもりである。彼は店で知り合ったフーテン娘の杉本美樹と懇ろになるが、ブラジルに連れて行くつもりは毛頭ない。その資金源となるはずの最後の強盗は逃走の最中に躓き、小林を死なせてしまう。

その為に身元も割れてしまうが、警察もずっこけ連中ばかりで、捕まりそうで捕まらない。そんな環境の中で彼が捻り出したのがなかなか興味深いアイデアで、警察を騙って銀行に電話をかけ大金を奪うのである。
 ちょいと知的なアイデアであるだけに惜しいのは、数日前に観た「さらば愛しきアウトロー」のロバート・レッドフォード式ではなく、銃をばんばんぶっ放すこと。面白いアイデアがなまなかに終わった感がある(但し、映画の内容としては一貫する)。

この事件に続くのが、彼が遂には腐れ縁になってしまった美樹ちゃんを車に乗せて、警察、彼を突け狙う小林の兄・室田日出男から逃走するうちに、暴走族やヤクザ、一般人を巻き込む大逃走。何と延々19分も続くが、このハチャメチャぶりはアナーキーで、カルト的な面白さがあると言って良い。
 当時の日本映画の予算は少ないので出て来る車は、製作時より数年古い中古車が多いが、唯一アメリカ車が出て来るのが豪華。僕がミニカーとして持っていた1970年か71年のポンティアックGTOではないかと思う。その前に昨日に続いてスカイライン2000GTも出て来るが。

そのポンティアック絡みで、自動車修理工場で働く若者が出て来るが、これが実に奇妙なのである。彼は最後に逃走劇に巻き込まれて死ぬか重傷を負う目に遭うが、渡瀬・杉本ペアに絡みつつも積極的に彼等に何の影響も与えないのに、お客のポンティアックに傷をつける精神的に歪んだ面を見せ、その客に痛めつけられた後に男を殺すといったエピソードを長々と見せるのである。構成的に全く破綻していて、完成度をぐっと下げた。
 作品に潜まされている反体制的な気分を感じさせる狙いの一環と思えないこともないし、(好意的に考えれば)ヒッチコックの言う “燻製にしん”(観客をミスリードさせる手法)に見えなくもないが、余りに単純な話で85分しかない現状から推して、尺稼ぎだったのだろう。

コロナと長い梅雨でうっとうしい時に見るにふさわしい、かも。

"映画評「暴走パニック 大激突」" へのコメントを書く

お名前
ホームページアドレス
コメント