映画評「勝利への脱出」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
1981年アメリカ=イギリス合作映画 監督ジョン・ヒューストン
ネタバレあり

学生時代、映画館で観た。多分それ以来の鑑賞だろうから、およそ40年ぶりの再鑑賞となりましょう。
 競技人口は多かったものの現在のようなサッカー人気がなかった当時の日本でも、シルヴェスター・スタローンの人気に援護射撃されヒットした。サッカー・ファンでなくても多くの日本人が知っていたサッカー界の大スター、ペレのバイシクル・シュートが映画ファンの間でもかなり話題になったのを憶えている。

第二次大戦中のドイツの捕虜収容所で、英軍の元サッカー選手マイケル・ケインが連合軍の捕虜たちにサッカーを指導している。それを見てドイツ往年の名選手マックス・フォン・シドウの大佐が、ナチスの宣伝の為に占領下のパリで試合をすることを提案する。ケインは選手の待遇を良くするという条件で承知する。
 一方、スタローンが単独で脱走しようと計画中で、集団脱走を企む連合軍グループは彼と試合を抱き合わせて集団脱走への実行計画を立てる。その第一弾が単独脱走したスタローンがパリでレジスタンスの連絡係と接触、不本意ながら捕まって収容所に戻って情報を伝えるというもの。パリではレジスタンスが地下水道を脱出経路に仕立てる。
 そして、キックオフの日を迎える。

収容所脱走映画の傑作「大脱走」、収容所ものの秀作「第十七捕虜収容所」、看守と囚人たちがアメ・フトの試合をする「ロンゲスト・ヤード」を併せたような内容ではあるし、監督がジョン・ヒューストンだから、きちんと要領よく見せている。

前半はそれほど面白いという程ではないが、作戦を煮詰めていく過程が一応楽しめる。俄然面白くなるのは、試合が始まってからで、アメリカさん(様でも産でも良い)は試合の見せ方が大体において上手く、本作も抜群と言って良い。ペレが考えた試合展開らしい。

ハーフタイムを利用して脱走するはずだったのに、試合に勝ちたいと試合を続行するという展開は、映画としては厳しさが足りないが、スポーツマン精神の発露として微笑ましく見られる。

0-4からの大逆襲で同点に追いつき、連合軍を応援するパリの人々が雪崩れ込んできたのに乗じて“棚から牡丹餅”の脱走を遂げる。それを見てシドウ大佐がやれやれと椅子に座り込むのも良い感じ。彼は典型的なナチ軍人ではなく、こういう人物を見て不愉快になるはずがない。
 ある種の映画におけるドイツ軍なら市民に向けて発砲したかもしれないが、そこまで残忍にする必要もあるまい。実際のドイツ軍ならどうしたか僕には解らない。

世界中の人々が家に閉じ込められている。コロナからの脱出はいつになりましょうか。

"映画評「勝利への脱出」" へのコメントを書く

お名前
ホームページアドレス
コメント