映画評「蜘蛛の巣を払う女」

☆☆★(5点/10点満点中)
2018年アメリカ=ドイツ=スウェーデン合作映画 監督フェデ・アルバレス
ネタバレあり

ボワロー=ナルスジャックがアルセーヌ・ルパン名義でアルセーヌ・ルパンのパスティーシュを書いたようなものと思えば良いのだろうか? スティーグ・ラーソンが残した“ミレニアム”シリーズをダヴィド・ラーゲルクランツが書き継いだ“新作”である。

お馴染みのハッカー、リスベット(クレア・フォイ)は、各国の核兵器を制御することのできるプログラムを開発したバルデル博士(スティーヴン・マーチャント)により、アメリカのNSA(国家安全保障局)に奪われた悪魔の兵器とも言うべきそのプログラムを奪還して欲しいと依頼を受けて成功するが、プログラムを開くことはできない。
 ところが、その情報を持つ博士とその息子(スティーヴン・コンヴェリー)を狙う組織が現れたため、リスベットは捕縛の為に接近してきたNSAセキュリティ担当ニーダム(レイキース・スタンフィールド)を逆に味方に付けて、一味と対峙する。
 その一味を率いるのがリスベットの実の妹カミラ(シルヴィア・フークス)。

煎じ詰めれば、カミラの行動原理は自分を変態の父親の許に残して逃げた姉への復讐・・・というお話で、本作で一番映画的に良いのは、リスベットが逃れるこのプロローグの場面と幕切れを呼応させた見せ方である。こういうのは画面で映画を観る習性のある映画マニアの心を打つ。痺れました。

しかし、映画文法(カット割り)には首を傾げるところが多い為、全体としては監督フェデ・アルバレスの技量に疑問を覚える次第で、とりわけこういうジャンル映画では不満が募る。スウェーデン公安の女性副局長(?)など登場人物の出し入れにもぎこちないところがあり、割合単純な争奪戦が難しいお話のように感じられてしまう。

スウェーデンのミステリー系統らしくスウェーデン三部作からの陰鬱なトーンを踏襲しているのはよろし。ミステリーというよりスパイ・アクションのようになったのは、その時代から見ているファンには不満だろう。僕は面白ければ何でも良いのだが。

賛否両論のヒロイン役クレア・フォイについては、地味という世評に同意。

前作とはシリーズを成すような、成さないような。前作のデーヴィッド・フィンチャーが製作に絡んでいるとは言え、監督も俳優も変わっているからねえ。

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