映画評「アリー/スター誕生」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2018年アメリカ映画 監督ブラッドリー・クーパー
ネタバレあり

1937年に映画界を舞台に作られた「スタア誕生」は17年後にほぼ同じ内容でミュージカル映画化され、さらにその22年後に音楽界に舞台を移した二度目のリメイクが行われた。本作はやはり音楽界を舞台にしているので、直接的には1976年版を下敷きにした感じである。

カントリー・ロックのスター、ジャクソン・メイン(ブラッドリー・クーパー)がほろ酔い状態で入ったおかまバーで、唯一女性として出演が認められているというアリー(レディ・ガガ)の歌声に魅了される。
 歌声だけでなくコンポーザーとしての才能もあるらしい彼女を自分のツアーに強引に参加させると、彼女のパフォーマンスが評判を呼び、アリーはとんとん拍子で人気歌手“アリー”になる。二人は結婚もする。
 しかし、マネージャー(ラフィ・ガブロン)が彼女を安っぽいポップ歌手に仕立てようとしたのが、魂の歌を歌うべきと考えるジャクソンには気に入らず、さらに酒に溺れていく。彼はそれを何とか克服するが、マネージャーの“あなたはアリーのキャリアの邪魔になる”との一言に彼は自殺の道を選ぶ。
 夫の追悼コンサートでアリーは“アリー・メインです”とフルネームを名乗る。

この幕切れが大枠では従来通りであるが、最初の二作で“ノーマン・メイン夫人です”だったところをさすがに現在らしく“夫人”ではなくした。76年版で消えた“メイン”の名前を復活させたのはオリジナルへの表敬を感じる。

定番故に物語がしっかりしている代わりに、先が解り切っているのでお話を楽しむという点で少し弱いのは致し方ない。
 それとは別に、夫の自殺への決意に至る心境が、自分が完全に落ちぶれてスターの夫にすぎなくなった境遇をはかなんで死を選ぶ最初の二作に比べて曖昧なこと、死に方も解りにくいことが気になった。

監督・共同脚本を主演のクーパーが兼ねているが、序盤のおかまバーでの切り返しを筆頭にカメラワークが実にしっかりしているのに感心させられる。それに加えて、曲作りに参加、さらに自前の歌も披露し、これが上手いのである。アメリカの役者は多芸の人が多いことに今更ながら驚かされる。実力派歌手レディ・ガガは体当たり演技が立派。【餅は餅屋】にならないところが凄い。

レディ・ガガの名前を聞いた時クイーンの「レディオ・ガガ」を思い出したが、実際彼女はかの曲をもじって名付けたのだとか。クイーンと言えば、今月は「ボヘミアン・ラプソディ」の放映がある。

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